今週は京都で「エリザベス女王杯」が行われる。連覇を狙うマリアライトと、昨年の2冠馬ミッキークイーンが人気を分け合いそうだが、3歳馬の活躍も目立つだけに軽視は禁物。はたして、秋の女王に輝くのは、どの馬か。
4歳上の強豪牝馬に、秋華賞を戦った3歳が加わってのエリザベス女王杯が今週のメイン。毎年、アツい戦いが繰り広げられているが、3歳勢が古馬に負けず、互角に渡り合っていることがレースをよりおもしろくしている。
00年以降、これまでの16年間では3歳馬が7勝、2着6回と、4歳(5勝、2着5回)、5歳馬(4勝、2着4回)の充実期にある古豪を圧倒しているのだ。これは斤量面(3歳54キロ、古馬56キロ)での有利さが手伝ってのこともあるが、秋華賞で好走した勢いをそのままに臨んでくるからだろう。
ただ今年は、桜花賞(ジュエラー)、オークス(シンハライト)、秋華賞(ヴィブロス)の3冠レースの勝者の顔がない。秋華賞2着のパールコードがどんな競馬を演じてみせるかが、1つの焦点と言っていい。
迎え撃つ古馬は、どうだろう。昨年の覇者マリアライトが健在で、これが筆頭か。GI2勝のミッキークイーン、前哨戦の府中牝馬Sを制して意気上がるクイーンズリング、昨年のエリザベス女王杯3着のタッチングスピーチが続く存在で、争覇圏内ということか。
では、データをひもといてみよう。馬単が導入された02年以降、これまでの14年間、その馬単で万馬券になったのは2回(馬連は1回)。この間、1番人気は3勝(2着5回)。2番人気は4勝(2着4回)。比較的順当に収まっていることがわかる。
3歳馬の活躍が目立つといっても今年はパールコードにデンコウアンジュのわずか2頭。3冠勝者不在はかえすがえすも残念でならない。
そう考えると、ここ6年、万馬券が出ていないものの、今年あたりは‥‥という気にもなってくる。
タッチングスピーチは、鉄砲駆けが利く気のいいタイプとはいえ、宝塚記念以来の一戦。ミッキークイーンも捻挫で使いたかったレースを自重したいきさつがあり、本来の姿に戻っているかどうか疑わしい。そうなると、まともに能力どおり評価できる有力どころはマリアライト、パールコード、クイーンズリングぐらい。なるほど、確かにひと波乱ありそうなムードではないか。
なら穴党の出番である。思い切っていこうではないか。白羽の矢を立てたいのは、シュンドルボンだ。
ひ弱な体質が響いて使い出しは3歳春。それも脚元に負担をかけないよう、ダート戦をしばらく走らされた。そんな状態だったから頭角を現したのは4歳の夏になってから。500万-1000万-準オープンと3連勝して一気にオープン入りしたのは高い能力があるからこそで、簡単にできる芸当ではない。
そして、オープン入りするや、いきなり使ったのが昨年のエリザベス女王杯。さすがに7着に敗れたが、勝ったマリアライトにコンマ2秒差なら立派と言うほかない。
その後、体調を落とすこともあったが、この春のGIII中山牝馬Sで重賞初勝利。ヴィクトリアマイルは9着に敗れたが、道中、前の馬が壁になったり挟まれたりの不利を被ったのが敗因。距離も合わなかった。
前走の府中牝馬Sは、休み明けで重め残りの状態。それに前々の競馬で展開も向かなかった。それでいてクイーンズリングにコンマ5秒差。使われて良化一変した今回は、強敵相手にも十分やれていいはずだ。
1週前の追い切りは実にリズミカル。
「仕上がり状態に関しては言うことなし。楽しみです」
こう矢野調教師はヤル気のほどを口にしたが、母系は欧州のGI血脈とあって期待が膨らむ。走りっぷりから道悪も不安がなさそうで、晴雨にかかわらず大きく狙ってみたい。
他ではアスカビレン、プロレタリアト、マキシマムドパリに注意を払いたい。特にアスカビレンは、ここにきて充実ぶりが目立っており、軽視は禁物だ。