衝撃の会見から、早くも1年近くが過ぎようとしている。島田紳助不在のお笑い界ではこの間、引退劇を笑いに変えて茶化すことが何度もあった。芸人ならば、それは当然の衝動だろう。ところが当の本人は、あの男がギャグにすることだけには過剰反応していた。そして、東西お笑い界を二分する抗争にまで発展。なんと、直接の罵倒応酬まで演じていたというのだ。
見知らぬ電話番号から着信
その時、石橋貴明(50)は「とんねるずのみなさんのおかげでした」(フジテレビ系)の楽屋にいた。
おぎやはぎやバナナマンなど、取り巻きとも言われる東京の若手芸人たちと、バカ話に花を咲かせている最中だったという。
突然、石橋の携帯電話に見知らぬ電話番号から着信が入った。
「誰だよ?」
石橋は心当たりがない様子でケータイを耳に当てたが、声を聞くやいなや、みるみる表情を硬くしていく。
なんと相手は、昨年8月24日に会見を開き、暴力団と不適切な交際をしていた過去の責任を取る形で芸能界を引退した、島田紳助(56)だったというのである。
紳助は開口一番、こうまくしたてたそうだ。
「石橋か? 紳助や。ワレ、ワシのマネしていい気になっとるらしいな! いいかげんにせーよ」
その後も紳助ががなりたてる声が、受話器越しに漏れていたという─。
ある芸人が耳打ちする。
「自分は最近聞いたんですけど、紳助さんが石橋さんに変な電話をかけたというのは、若手芸人たちの間で広まっている話なんです」
コトが勃発したその時期に関しては、数カ月前のことだったという。
本誌既報だが、そもそも石橋は、紳助を挑発するようにテレビ番組でおちょくり続けてきた。
昨年10月に50歳の誕生日を迎えた石橋は「みなさん」の収録中、共演者たちに「サプライズパーティ」でお祝いされた。
ところが会場に入った石橋は、照れもあってか、マイクを握るとこうブチかましたのだ。
「自分の中ではセーフだと思っていたんですが‥‥。50歳にして引退を決意しました」
わずか2カ月前に行われた紳助会見のパロディである。まだテレビで触れるにはタブー視する傾向があった話題だけに、共演者たちも驚きを禁じえなかった。
お笑い関係者が語る。
「石橋は紳助がテレビ界で隆盛を極めていた頃から、『東京の芸人を結集させよう』と話し、対抗意識を持っていた。というのも、目上のお笑い芸人でも、紳助よりたけしを尊敬してきた石橋にとって、昨今、東京の芸人が関西の芸人に押され気味だったことをおもしろく思っていなかったんです。おぎやはぎから、紳助の番組になじめないことを相談されると、『うちで使うから出なくていい』と言い切ったこともあるほど」
そんな対抗心が高じて、石橋が紳助をネタにすることは、枚挙にいとまがなかった。09年に放送された「オールスター感謝祭」(TBS系)の収録中に紳助が、番組前の挨拶がなかった東京03に激怒し、胸ぐらをつかんで「潰すぞ」と恫喝した一件が報じられた。すると、直後に東京03と共演した石橋は、やはり3人に対して凄み、「挨拶しろや!」などとネタにしたのだった。「それをあとから伝え聞いた紳助は、『あいつら、ホンマにナメとんのか!』とマジギレしていたそうです」(芸能記者)
他にも石橋は、紳助の口癖「感動するやん」を揶揄するなど、やりたい放題。引退後はそれが加速した形だ。
年下の後輩芸人にここまでいじり倒されては、さすがに紳助も堪忍袋の緒が切れたのだろう。どこから番号を聞き出したのか、石橋に直接、威嚇の電話を入れてきたのだ─。