テリー 今後もWBCは継続するということなんですが、4年後の侍ジャパンに必要なことは何ですか?
権藤 やっぱり、これだけいい戦いができた一番の理由は日本の緻密さ。これは最大限に生かさなきゃいかんと思いますね。
テリー 具体的には?
権藤 まずピッチャーで言えば、微妙なコントロールでしょうか。ストライクを取れる技術はあるわけですから、これからもっと必要になるのは球の強弱。球種だけいくら増やしても、最終的なところで通用しないですよね。
テリー なるほど。
権藤 で、バッターにもやはり強弱が必要なんですよ。アメリカの重い球に振り負けしない「強」の部分を磨かないと。やっぱり青木のフリーバッティングは、ガツン! と来ますものね。メジャーのピッチャーの重い球に対応してきた結果だと思います。
テリー それはイチローも言っていましたね。彼、練習の時はホームランばっかり狙っていますから。
権藤 4年なんて長いようでアッという間ですから、シーズン中もきつい打球を打つように心がけることが大事ですね。それとピッチャーについては、この大会形式なら先発は4人で十分です。あとは中継ぎ、抑えの充実ですね。5回、6回までもっていけたのは、結局のところ菅野と千賀(滉大)だけですからね。
テリー 先ほどもおっしゃっていましたけど、WBCのマウンドって、やっぱり特別なんですねェ。
権藤 千賀なんて、イスラエル戦で「先発」と伝えたら「僕、もうヘトヘトですよ」って言いましたからね。「何を言っとるか!」って叱りましたけど(笑)。
テリー でも今回、千賀もよかったですよね。
権藤 ええ。実は今回、千賀は選抜から落とすつもりだったんですよ。
テリー ええっ、それはまた何で?
権藤 去年の秋に見た時、フォークボールが4メートル手前ぐらいでワンバウンドして、「こんなにコントロールの悪いピッチャーは使えんな」みたいなことを小久保監督と話していたんです。だけど、その4メートル手前のボールをバッターが空振りする。つまり、途中からボールが消えているということがわかって「これは大きな力になる」と、選抜に加えることになったんです。
テリー みごとな采配ですね。もう侍ジャパンは解散しましたけど、ここまで濃いつきあいをしてきたら、今シーズン、各選手の動向も気になるんじゃないですか?
権藤 そうですね。今まで自分のチームだけが大切で、スポーツ新聞なんて端から端まで読んだことなんてなかったんですけど、今や全12球団に1カ月一緒に生活してきた選手がいるじゃないですか。もう、名前が出ているだけであれこれ気になってしまって(笑)。
テリー ハハハ、その気持ち、わかりますよ。みんな自分のかわいい身内であり、戦友ですよね?
権藤 いやいや、そんな。年齢的には孫みたいなもんですからね。
テリー 例えば、菅野と筒香(嘉智)が対戦する時、権藤さんはどちらを応援するんですか?
権藤 ウーン、悩みますけど、一緒に戦って援護してくれた筒香にホームランを2本くらい打ってもらってちょっと花を持たせる感じで、最後に菅野が勝ってくれれば最高じゃないですか。やっぱり私、ピッチャーなものですから(笑)。
◆テリーからひと言
色紙にサインをお願いしたら「もう最後になるな」と言いながら「侍ジャパン」と書いてくれた権藤さん。そんな寂しいこと言わず、これからもWBCのメンバーを見守って、励ましてあげてください。