亀谷 最近、厩舎コメントがどの新聞も一緒だったりすることが多いですよね。「エイト」はどうです?
ヒロシ 厩舎にもよるんじゃないかな。調教師から何時にコメント出す、というアナウンスがあって、その時間に記者たちがゾロゾロと集まる、みたいな。
亀谷 えっ、そういうスタイルに変わったんですか?
ヒロシ ここ10年ぐらいかな。若い調教師は、そういうスタイルが好きだから。
亀谷 だったら調教師が自分でブログやって、好きに書いたらいいじゃないですか(笑)。もしかして、これからそういう時代になるのかな。何か独自性がないですね。
ヒロシ あまりないよな。
亀谷 ヒロシさんは?
ヒロシ そりゃ、あるさ! 例えば、GIの時は特別に「有力馬情報」のページがあるから、調教師とかへの独自取材の情報を書くし。そういえば昔、ダービーの時にコディーノからノリさん(横山典弘騎手)を降ろした理由を、藤沢先生に聞いて「オーナーじゃなくてオレが降ろした」って書いたの。先生はオーナーから言われる前に替えてあげたかったというか、替えられる側の気持ちを察して先に提案したわけだけど、あれは、お互いに誤解があったね。
亀谷 ところで、調教の見方とかの予想方法は、先輩から後輩に語り継がれたりするんですか? 例えば名店には秘伝の味とか、あるじゃないですか?
ヒロシ ないねー。
亀谷 じゃあ、記者は調教とかの見方を誰に教わるんですか?
ヒロシ うーん、独自でだね。俺は前回との比較ぐらいかな。パターンが変わったとか。
亀谷 その見方も教わったわけではないんですよね。
ヒロシ 時計の取り方は受け継がれているけど、馬の見方は誰も教えないね。
亀谷 そういうもんなんですね。
ヒロシ 結局、自分なりだよ。競馬記者って、職人やアスリートのように絶対的な優劣が永遠につかない職業だから。仮にサイコロを転がして印を打ったとしても、当たればすごい、ってなっちゃう。一発で伝説みたいになることもあるし、優劣が瞬間的に変わる。会社によっては給料がバーンと上下するらしいしね。
亀谷 その評価は的中率?
ヒロシ わからない。
亀谷 回収率じゃなく、的中率で記者を評価しないといけないですよね。専門紙ってブックメーカーなんですよ。昔はノミ屋が新聞を大量に買ったわけですから。だから的中率とオッズが一緒にならないとノミ屋は損しちゃう。僕は専門紙の印を全て集計しているので、人気順だったら90%当てられます。ファンの90%のお金は専門紙の印どおりに流れている。
ヒロシ なるほどね。ただ、専門紙はGI以外、枠順を見て印を打つことができないから。新潟の千直など、本紙予想だけは枠順を見て印を変えてもよくなったけどね。他の専門紙もそうなんじゃないかな。
亀谷 だから最近、7枠と8枠の印が異常に多いんですね。それでオッズもすごく下がるようになった。
ヒロシ 馬券的には内枠で来る馬を探すほうがおいしいんだけどね。
松本ヒロシ:1963年生まれ。93年、サンケイスポーツに入社し、専門紙「競馬エイト」所属の看板トラックマンに。藤沢和厩舎のほか12厩舎を担当している。自分の中での目標は、15年のターコイズSを的中させた時の配当(3連単295万円/11・16・15人気で決着)を超えること。テレビ「みんなのKEIBA」(フジテレビ系)、「競馬予想TV!」(CSフジ)に出演中。
亀谷敬正:テレビ、専門誌などでカリスマ的人気の若手血統馬券師。週刊アサヒ芸能で「『一攫千金』穴馬ドリル! 亀谷敬正~血統こそ大穴への近道なり~」を連載中。HPはhttp://k-beam.com 推奨レース、期待値の高いデータ満載の出走表も配信中。コンビニのコピー機でも予想を配信(Eプリント 亀谷で検索)。「競馬予想TV!」「競馬血統研究所」(ともにCSフジ)に出演中。