もう一つ言うと、採決の党議拘束も問題。「賛成」「反対」が決まっちゃっているから、議論しても頭で考えてもしょうがない。そのせいで、議員の能力がえらく下がってしまう。内容を自分の頭で考えないから、自分自身でわからないまま、採決で賛成か反対かを決めてしまうことになる。これが「しがらみ政治」につながるのです。
── 自民党を離党した際、加計学園問題も「しがらみ政治」の象徴としてあげていましたね。
加計学園の文書問題について、菅官房長官が「怪文書もどき」だと言っていましたが、僕はずっと(東京地検)特捜部で検事をやっていた専門家だから、文科省に存在するというのは手に取るようにわかるし、前川(喜平)さんのあの記者会見の発言にウソがないこともわかる。だから確信を持ってズバッと言えるわけですよ。まだその時は怪文書じゃないかと、マスコミも含めて思っていたから、みんな「若狭さん、何で離党する時にそんなことを一番の理由にするの?」と言われたんだけど、僕は確信を持っていました。
── とは言いながらも、なぜ5月まで「しがらみ政治」の自民党に所属していたんでしょうか。
僕は東京地検特捜部でそれこそ25年以上、他の国会議員や閣僚よりも「証拠物」などで自民党の「しがらみ」の奥深いところを見ていました。自民党から出馬するにあたっては、「国民の信頼を失わせることがないよう、自民党の中からしがらみ政治を変える」と1万人もの有権者に訴えることもありました。ところが実際に中に入ってみると、しがらみ政治の壁は厚い。「外に出てしっかりやらなければだめだ」となったんです。
── 「しがらみ政治」からの具体的な脱却法はどういうものですか。
大事なのは「活性化した議論」です。要するに、議論をしないまま誰かが決めて「賛成」「反対」と党議拘束をかけるから、党のガバナンスができない。政党に「一つの枠内」の人が集まっているとすれば、「活性化した議論」をすることによって、政策に関してもおのずと結論が収斂されていく。新党では少なくとも3分の1は、なるべく政治に関わっていない人を入れようと思っているんです。政治経験がなくても、一つの専門分野において資格や資質がある人を国会議員にしたほうが活性化する。専門家だからみんな思うとおりに発言し、そういう人たちに触発されて、今までものが言えなかった人もちゃんと言えるようになると思います。