ヒット曲が生まれ、メディアに営業に引っ張りだことなれば、カネが飛び交う。だがそのカネの魔力に苦しめられた歌姫は多かった。
あの島倉千代子は「カネで苦しんだ」、その筆頭だ。
「苦労の始まりは63年、阪神の4番打者・藤本勝巳と結婚しました。藤本は商売に手を出して失敗、数千万円の借金を抱え、島倉に肩代わりさせたんです」(女性誌デスク)
藤本とは6年後に協議離婚。そのあとに現れたのが、島倉の失明の危機を救った眼科医だった。観客が投げた紙テープが島倉の目を直撃、その治療を施した眼科医にダマされ、手形を裏書きしてしまったのだ。
「諸説あるけど、眼科医のせいで島倉は十数億円とも言われる負債を抱えることになったんです。島倉の楽屋にまで押しかけるコワモテの借金取りたちに話をつけたのが、占い師・細木数子の内縁の夫と言われています。結果、細木サイドが島倉の興行権を握った」(レコード会社関係者)
島倉と細木の関係は77年に始まり、馬車馬のように働いた島倉は3年後、借金を完済。島倉の興行権は大手レコード会社に売り渡されたという。
バブル時代、株取引で36億円もの大借金を抱えたのが畠山みどり(78)。12年に「爆報!THEフライデー」(TBS系)に出演し、「借金は完済しました」と大見得を切ったのだが、芸能レポーターの石川敏男氏は言う。
「実は借金はゼロじゃないんです。彼女は歩けなくなるほど足が悪かった。そのため通院していた整体師から11年頃、『宮城に介護施設を建てる』と、不動産投資の話を持ちかけられてね。それでまた新たな借金を背負うんです」
その整体師は畠山を歩けるようになるまで治療した恩人だった。介護施設が運営できるようになったら、月に数百万円の賃料収入を得られる予定だったというが、施設は開業することなく計画は頓挫。畠山は、またしても巨額な借金を抱えることになったのだ。
「何曲もヒットを飛ばした歌手でも副業に手を出したりする。将来への不安からでしょう。でも、歌手一本でやっていたら、こんなことにはならなかったんですよね」(前出・石川氏)
安室奈美恵(40)は、カネで解決でき、それで終わっていればよかったと思われるケースだ。99年3月17日、実母・平良恵美子さん殺害事件が発生。恵美子さんは再婚した夫・辰信さんと一緒に道路を横断する際、義弟・譲二容疑者が運転する暴走車に数回はねられたうえ、ナタで斬りつけられる。なんとも凄惨な犯行だった。譲二容疑者は直後に除草剤を飲んで自殺した。
当時取材したジャーナリストが言う。
「一説によると、譲二容疑者は恵美子さんに1000万円以上の借金があり、事件の直前にもスナックの開店資金を無心していたと言われた。なぜ恵美子さんは多額のカネを貸していたのか。容疑者が何か恵美子さんの秘密を握っていたのではないか、と噂されました」
歌姫と、その周辺のカネにまつわる“黒歴史”もまた宿命なのか──。