漁師に薄毛の人が少ないと言われている。都市伝説の類だとの意見もあるのだが、何と根拠があったのだ。
銚子で理髪店を営むAさんが話す。
「約40年ほど理髪店をやっていますが、確かに漁師の人に薄毛の人は少ないというしかないですね。私らから言わせれば漁師の職業は髪に良くないことばかり。常に危険と隣り合わせの仕事でストレスは半端じゃない。ストレスは交感神経のバランスを崩すので交感神経が常に緊張状態になる。このバランスの崩れによって異常な発汗作用が起こり頭皮の環境を悪化させます。それに漁師は紫外線を浴びっぱなし。髪の毛は主に、アミノ酸が結合したタンパク質でできているが、この結合を分解してしまうのが紫外線。髪の毛にダメージを与える。だから、漁師に薄毛が多くてもおかしくないんですがね」
Aさんは首をかしげるのだが、アメリカのベンジャミンS・フランク医学博士はその著書「老化は食べ物が原因だった──細胞から若返る核酸食事法の秘密」(SEISHUN SUPER BOOKS)で核酸食事法で毛が生えると論を展開している。氏は「薄毛は老化が原因」だと主張する。詳述は割愛するが、髪の薄毛の悩み解消には、老化のストップが不可欠ということで、そのアンチエイジングに効果を発揮するのが、「核酸」なる栄養素。若々しさを維持するためには新しい細胞が絶えず作り出される必要がある。「核酸」はそのための必須の栄養素で、大きく分けてDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)という成分が含まれているのだそうだ。氏はそのために最適な食べ物がイワシだと勧めている。
「イワシは、DNAとRNA、2つの成分が豊富に入っている」
ので細胞の若返りには理想的な食品だという。頭皮を健康にして、髪にハリとコシを与える育毛効果があるほか肌がきれいになったり、シミができにくくなるのだという。
フードコンサルタントの中川貴子管理栄養士はこう言う。
「イワシには核酸の他にもメチオニン、亜鉛、リノレン酸系脂肪酸(DHA・EPA)、コエンザイム、カルシウム・マグネシウム(必須アミノ酸)、タウリンなど発毛、育毛効果が望める成分を豊富に含んでいる」
なるほど、そう言えば銚子はイワシの水揚げ日本一を誇り、なめろうという郷土料理もある。イワシがよく食べられているのだ。
「新鮮なイワシが手に入りにくい。料理が面倒だ。そんなひとにはイワシの缶詰でも効果は得られます」(中川貴子さん)
さっそくイワシの缶詰を買いに行こうか。
(谷川渓)