テリー FMWの全盛期はスタジアムも満員になって、チケットも入手困難。当時は、すごい収入だったんじゃないですか。
大仁田 年間17億円稼いだ時もあったんですが、意外と儲からなかったです。
テリー ええっ、そりゃまたなんで?
大仁田 全日本、新日本はバックにテレビ局がついているから、付帯設備なんかはあっちが持ってくれるんですよね。うちの場合、例えば横浜スタジアムでタイガー・ジェット・シンと戦った時なんかは「人工芝の上にべニヤを敷いてくれ」と言われて、まずそこで4000万円かかるわけです。
テリー ああ、なるほど。爆破の火で人工芝が燃えちゃうとまずいから。
大仁田 他にも、移動費みたいな経費も全部自分持ちですからね。17億円稼いでも、手元に3億円残ったかどうかくらいなんですよ。
テリー それだけ稼げただけでも、大したものじゃないですか。
大仁田 何言ってるんですか、今の俺があるのは「元気が出るテレビ!!」のおかげですから。「炎の大仁田 涙の男塾」っていうコーナーを任せていただいたおかげで、他のバラエティー番組にも出演することになりましたからね。
テリー あれがきっかけになったのかもしれないけど、やっぱり大仁田さんの個性が強力なんですよ。
大仁田 あ、今思い出しましたけど、恵比寿ガーデンプレイスで偶然(ジャイアント)馬場さんとお会いした時に「電流爆破、やりませんか?」って聞いたことがあるんです。
テリー ええっ!? それ、おもしろいなぁ(笑)。
大仁田 そしたら馬場さん、「おい、大仁田、それ痛いのか」って(笑)。俺、それを聞いた時に「すごいな」と思ったんですよ。
テリー ハハハ、それはすごいわ(笑)。
大仁田 だから、馬場さんに「これこれ、こういう流れで、俺が全部仕切ります。最後は俺が爆破で倒れますから」と、話したんですけど、最終的に「だけどな、ジャンボ(鶴田)とか三沢(光晴)が反対するからダメだ」と。じゃあ聞くなよ、という話なんですけど、その話の受け方が、プロレスとまったく同じなんですね。
テリー ああ、相手の技を全部受けますものね。
大仁田 馬場さんは、相手を光らせてこそプロレスラーだっていう人でしたから、今考えると、そういうことなんですね。
テリー いや、次元が違いますよ。
大仁田 今だから言えますけど、実は(アントニオ)猪木さんとも試合をする方向で裏交渉が進んでいたことがあったんです。その時、猪木さん側から提示されたのが、2つのリングにハシゴをかけて‥‥みたいな話で。
テリー それ、おもしろい! 2つのリングを行ったり来たりするんだ。
大仁田 でも、結局はうやむやになってしまって。基本的に猪木さん、俺のことを嫌いなんですよ。
テリー ああ、それはちょっとわかるな。2人ともアイデアマンでしょう、タイプが似てるから、どこかでぶつかるんだよ。
大仁田 かもしれないですね。だから、今度の引退の際に猪木さんに挨拶に行こうと思って、連絡してみたんですよ。向こうも忙しかったみたいで、実現しなかったですけど。
テリー それはきっと「どうせまた、引退撤回するんだろう?」って思われているからでしょう(笑)。