【6】復路のカギは下りの忍者
前回の経験者が残る青学大、法大、中央学院大は、ここで復路の主導権を握る。
「6区は注目ですね。特に青学は前回の区間2位の小野田勇次(3年)がいるので、復路にエース級を置いてV4達成を狙う可能性もある」(折山氏)
“山下り”は意外にも過酷で、想像以上の負荷が脚にかかる。
「最大傾斜は宮ノ下付近で100メートルを15秒台のスピードで駆け下りる。地点によってはMAX14秒台も計測されます。ただし、スピードだけでは通用しない。ポイントはスタート序盤の約4キロの上り。忍者のように小刻みなフットワークでリズムよく上って下らないと、ラスト3キロの平坦地で急に脚が上がらず意外なほどの大差がつく」(スポーツ紙デスク)
はたして、誰が「下りの忍者」となるのか注目だ!?
【7】体調管理が勝負を分ける
復路のスタートは朝8時。寒い日は精進池に氷が張ることもある。冷え込みの激しい中でスタートする6区と同じく、7区も温度差が最も激しい区間だけに体調管理が勝負を分ける。
「青学大のエース田村は前回、残り3キロでまさかの失速。左斜め前方から照りつける日ざしで脱水症状に襲われた。要因の一つはペットボトル半分ほどの水を飲み干していなかったから。それぐらい体調管理は難しい」(レース関係者)
前回は、山梨学院大が大会直前にインフルエンザに集団感染。優勝候補がシード権を失った。全日本のスケジュールなどから予防接種の時期も難しいようだ。
【8】箱根駅伝名物「監督の檄」
運営管理車からの声かけポイントは、6区を除いて通常は1、3、5、10、15、20キロか、ラスト1キロだ。
「時間は1分ほど。『男になれ!』などの名セリフで知られる駒大の大八木弘明監督(59)は、時間を忘れて熱血コールしながら伴走し注意されています(苦笑)。あと、昨年は3区で青学大の原監督がパフュームのファンの秋山雄飛に向かって『パフィーのリズムで行け』と、間違って声がけして話題になった」(前出・レース関係者)
往路の8区や9区になると、シード権争いや繰り上げスタートの危機が迫るだけに、一段と激しくなる。
「例年、4年生が多く走る傾向があり、『4年間ありがとう!』のかけ声は定番で、場面によっては涙モノです」(専門誌編集者)
【9】タイムを縮めるシューズ
過去、靴ずれ防止に効果的な和紙とシルクの混合ソックスが注目された。
「今季はシューズ。『ヴェイパーフライ4%』(ナイキ)がそれで、『持ちタイムを4%更新させるほどの効果』を意味するネーミングだそうです。ロンドンとリオ五輪の5000メートルと1万メートルを連覇したモハメド・ファラーが使用するモデル。かかと部分が厚めのソール仕様で見た目にもわかります」
提供を受けた東洋大の佐藤コーチが話す。
「体幹がしっかりとしていないと効果を引き出せず、トラックでこそのシューズという印象でしたので、区間によって使用します。5区や6区は従来の山仕様のシューズになります」
ドラマ「陸王」(TBS系)の影響で、シューズにも注目が集まりそうだ。
【10】復ゴールに「箱女」が集結
ここ数年、箱根駅伝好きの「箱女」が急増し、200人近い女子大生や若いOLがゴールの大手町・読売新聞東京本社前に集まる。
「表彰式と閉会式の行われる東京ドームに移動するまでの2時間ほど、路上で各校ごとに報告会が行われます。関係者も交えた大きな輪ができて校歌を熱唱するなど盛り上がる。そこでプレゼント攻勢をかけたり、中にはコートを着つつ胸の谷間があらわな服で近づき、携帯番号を手渡す女の子もいる。前回、某大学のエース級が『モテキが来た』と大喜びしていたのが印象的でした(笑)」
箱根駅伝の新たな風物詩になるかもしれない。