今週は東京新聞杯がメイン。明け4歳以上の古馬によるマイルで争われる別定戦だ。同じ舞台での安田記念まで間があり、GI戦に関連づけられる重要な位置づけの重賞ではない。
それでもこの冬場のGIII戦としては、毎度のこと、顔ぶれはいい。ここを踏み台に大きく羽ばたこうと願っている素質馬も少なくなく、今後のマイル路線を見据えて注目すべき一戦であることは確かだ。
まずはアドマイヤリードだろう。体調を崩して昨秋の府中牝馬S以来3カ月半ぶりの実戦になるが、言わずと知れたヴィクトリアマイルの覇者。その連覇を目標として、ここから始動するわけで、久々とはいえ、さて、どんな競馬をしてくれるのか、目が離せない。
京都金杯2着のクルーガー、マイル戦がとにかく得意なダノンプラチナ、そして実力派グレーターロンドンなど、古馬陣の層は相当に厚いが、対する明け4歳勢も魅力たっぷり。
弥生賞を勝って以降、足踏み状態だが、いつ爆発してもおかしくないカデナ、朝日杯FSの覇者サトノアレス、そして桜花賞、秋華賞ともに2着のリスグラシューという具合。とにもかくにも、かなり白熱したレースが期待できそうで、馬券的にもおもしろくなりそうだ。
なるほど、これまでを振り返ると、別定戦なのによく荒れている。
馬単が導入された03年以降の過去15年間、その馬単で万馬券になったのは7回(馬連は5回)。マイルを中心に使っている馬の力量がそれだけ拮抗しているからなのだろうが、層が厚いのであれば馬券的に難解なのは当然だろう。
1番人気馬は2勝(2着2回)、2番人気馬も同じく2勝(2着2回)。簡単に決まりにくいのであれば、穴党としては気合いが入るというものだ。
またこのレース、ピークを過ぎたか過ぎてないか、の6歳馬の活躍が目立つ。6歳馬は6勝(2着5回)と気を吐いており、本来、最も強いはずの5歳馬(3勝、2着3回)を大きく上回っている。このへんは頭に入れておくべきで、今回に関してはクルーガー、グレーターロンドンといった人気馬は、当然ながら軽く見るわけにはいかない。
しかし、ここは6歳勢に負けず劣らず活躍している4歳馬(6勝、2着5回)に注目してみたい。しかし、カデナ、サトノアレスの牡馬ではない。期待を寄せたいのは牝馬のリスグラシューだ。
前走のエリザベス女王杯は8着に敗れたが、この馬は本質的にマイルの距離がベスト。敗因は緩い流れの中、後ろから行きすぎたとされているが、2000メートル以上だと、どうしても取りこぼしが多い。陣営もそう納得して、今後はマイルを中心に使っていく方針を決めている。
前走から3カ月の間隔が開いているが、これは予定の行動で、この中間はいたって順調だ。
「マイルの流れはこの馬にピッタリ。しまいの脚にも磨きがかかっており、古馬、それも牡馬相手にどこまでやれるか実に楽しみ」
矢作調教師はじめ、厩舎スタッフは、新たなスタートを前にヤル気満々だ。
体調も実にいい。ここを目標に、しっかり乗り込まれてきており、中間の稽古の動きは躍動感たっぷり。重め感はまったくない。
マイル戦は〈1 3 1 0〉の成績が示すとおりベストで、母の父アメリカンポストもマイルのGI仏2000ギニーの覇者。近親、一族にロビンオブナヴァン(GIクリテリウムドサンクルー)など活躍馬が多くいる良血。好走必至と見た。