坂元裕二脚本の水曜ドラマ「anone」(日本テレビ系)。平均視聴率は初回こそ9.2%だったものの回を追うごとに数字を落とし、第5話では5.9%と超低空飛行に陥った。が、そんな中でも主役を務める広瀬すずの「あるシーンがたまらない」と、評判を呼んでいる。
「それは広瀬演じるヒロイン『辻沢ハリカ』が、同じ施設にいて幼馴染で思いを寄せる男友達の『紙野彦星』の夢の中に登場するシーンです。彦星がパン屋さんでパン二つとリンゴジュースを買ってレジに行くと、ベレー帽をかぶったハリカがいるんですが、太目のボーダー柄のシャツ、そしていろいろな種類のパンの柄が描かれたエプロン姿に視聴者からも《パン屋ハリカ、このシーンすごく好きなんです》《パン屋シーンかわいい》《パン屋の夢…良かったな》といった声が上がりました」(エンタメ誌ライター)
夢の中のシーンだけに、ドラマの中ではモノクロでしか見ることができなかったものの、番組のインスタグラムでは色鮮やかなカラーバージョンのハリカ(広瀬すず)が登場。ヒーローもののようにファイティングポーズ姿をとり、そこには「なぜか戦闘態勢です」とコメントが添えられているが、このインスタにも〈こんなパン屋があったら毎日通ってしまいそう〉〈絶対に毎日通いつめます(笑)〉という声が上がるとともに、〈彦星君の思いが辛くて泣きました。ハリカちゃんの願いが叶ってほしい。いつか、二人で流れ星を見てほしいです〉と、感極まって泣きそうになっているようなコメントまで、数多く上がっているのだ。実はこのシーンに至る背景となるストーリーの展開が視聴者の心をつかんでいたのだ。
「重い病を患う彦星は、『死ぬのが怖くなるから』とハリカと会うことを拒んでいました。そんな彦星が集中治療室から生還。広瀬扮するハリカがパン屋さんとして登場するその夢の中で、広瀬に押してもらったスタンプカードを見て『明日もこのパン屋さんでパンを買おう』『明日も生きたい』さらに『生きてハリカに会いたい』という思いを感じるというシーンなんです。切ない音色の挿入曲が流れ、モノクロ画面で、セリフが字幕という無声映画のような作りだったのも涙を誘いました。実は『anone』には、こういったキラリと光るシーンが随所に散りばめられているんです」(前出・エンタメ誌ライター)
視聴率こそ“記録的な低迷”ぶりだが、坂元裕二脚本・広瀬すず主演の「anone」は、視聴者の“記憶”に残る名作になることは間違いないようだ。
(窪田史郎)