名球会は対抗措置を取る。まず会員に「金田氏が関わる野球教室には協力、参加しないように」との通知を出したのだ。これについて、理事の柴田勲氏(69)はこう答えた。
「もともと名球会がやっているイベント。今は一切関係ないですが。(不参加要請は)拘束力はないですよ。あくまでもお願いということで」
前出・名球会関係者は、次に講じられた「追加措置」を明かす。
「さらには、ドリームベースボールを招聘する全国の自治体などにも一部の理事らが『金田氏が横取りした』との主旨が書かれた通知書を流しました。その結果、年間15回あったイベントが、翌年には7回に激減したのです」
メンツを賭けた、一種の妨害工作とも言える抵抗。意地の張り合いである。ただし、先の平松氏はこんなことを言うのだ。
「金田さんの野球教室に出ないでくれと何度も言っているけど、数名の会員‥‥藤田平(65)、加藤秀司(65)、村田兆治(63)、この3人が出ているのでね。名球会の大きな事業を取られることは一番の損失なんです。でもそこに3人は参加しているので、総会には出てこられない状況ですね」
実際はこの3人の他にも、大島康徳氏(62)が参加しているのだが、名球会の意図に反旗を翻す理由は何か。4人のうちの1人、加藤氏に真意を聞いた。
「名球会から『出ないでくれ』とは言われましたよ。カネさんを外せという意見を(自治総合センターに)持っていって『名球会一本でいってくれ』と言ったら『金田さんと契約してます』と言われたことも知ってる。それ以降、(名球会から)ガンガン(参加するなという指令が)来たわけですよ。でも、オレは悪いけど『出る』と返事した。だって、早い段階から出ると約束していたのに、ケツまくったら申し訳ないやろ」
つまり、不参加要請が出る前にすでにしていた約束は守りたかった、という仁義である。加藤氏は続ける。
「そういう状況の中で、主催者‥‥行政側かな、そこからは『参加しますか』という問い合わせがあった。だから今年も出たんや」
名球会は関わらないが、主催者側からは独自に参加の打診があるというのだ。
「名球会は『参加したらペナルティがあるかもしれんよ』という圧力もかけてきたけど、それはちょっとおかしいやろ、ということです。そんなことやってる場合か、と思う」(加藤氏)
あくまで一野球人として賛同し、参加する加藤氏。ファンはどちらを支持するのか。前出・平松氏は「金田さんは今も王さん、柴田さんと話し合ってるけど、うまくまとまっていない」と言うが、往年の大スターの泥仕合をこれ以上見たくないことだけは確かである。