テレビ局やタレントが一目置き、ヨソの事務所のタレントについても遠慮なく持論を展開し、毒舌で斬る。
「芸能界のご意見番的なポジションになるきっかけは恐らく、『和田アキ子だ 文句あっか!』(83年・日本文芸社)という著書でしょう」(安良氏)
サブタイトルは「アッコの芸能界色メガネ毒舌言いたい放題!!」。その2年後には「アッコにおまかせ!」がスタートし、どんどん人に意見するようになる彼女をマスコミは重宝するようになる。ある構成作家はこう語る。
「彼女の場合は、文句を言ってくる人がほとんどいないので、うまくマスコミに利用されているんです」
和田にまつわるもう一つの謎は、「なぜ毎年、NHK紅白歌合戦に出場できるのか」である。
「NHKが掲げる選考基準3カ条があります。それが、その年の活躍、世論の支持、番組の企画・演出。彼女はそのどれからも外れているように思いますが‥‥。歌手としてCDが売れているわけでもないし」(スポーツ紙芸能担当デスク)
確かに近年、これといったヒット曲は記憶になく、10年にリリースした「人生はこれから」などは348枚しか売れなかったとされるほど。なのに、女性では28年連続、37回の最多出場を誇っている。
「72年の曲『あの鐘を鳴らすのはあなた』を何回歌ってるんですか。いわゆる『ホリプロ枠』ですが、かつての山口百恵や森昌子のような歌手はおらず、生え抜きの和田がシンボルタワー。『去年、ヒット曲もないのに出演して、じゃあ今年落とす理由は何か』となる。そうやってヒット曲がないままズルズルといった。紅白スタッフの間では毎年、『今年こそ和田を切りたい』という話が必ず出てきます。でも‥‥」
こう言って言葉を飲み込むのは、NHKスタッフである。その理由を、安良氏はこう明かすのだ。
「近年のNHK大河ドラマには綾瀬はるか(29)、松山ケンイチ(29)、妻夫木聡(33)らホリプロ所属の俳優が出演し、朝ドラでも『ゲゲゲの女房』に系列事務所所属の向井理(32)が出ています。NHKとホリプロはズブズブの関係で、和田を落としてホリプロのタレントを引き揚げられるような事態は避けたい」
友好な関係を保つための「カード」が和田の紅白出場継続だというのだ。
こうして芸能界で確固たる地位に君臨する恐怖のご意見番だが、ファミリーの間で必ずしも慕われているわけではないようである。
「誕生会の出席者に『偉そうな態度に辟易している』『(和田の)飲み会はキツイ。朝までつきあわされるし、死ぬほど飲まされるのは勘弁してほしい』『本当は行きたくない』と愚痴られたことがあります。酔っ払ったアッコさんにボコボコにされたり、陰毛を燃やされる芸人もいたりするし、酔った勢いでうっかり言葉づかいを間違おうものなら『何や、オマエ!』と殴られたり蹴られたり。翌日になったら彼女は全部忘れて、さっぱりしているそうですが」(構成作家)
インタビューを数多く手がける芸能ライターも、
「今までいろんな芸能人の話を聞いてきましたが、交遊録の話題で彼女の名前が出てきたことはほとんどありません。手下であるファミリーの人間に対し、ちゃんと面倒を見てないからだと思います」
和田の現在のレギュラー番組は「アッコにおまかせ!」と「アッコのいいかげんに1000回」(ニッポン放送)。さるプロデューサーは言うのだ。
「紅白に出ているからかろうじて歌手と認知されているけど、もし出なくなったら完全にご意見番専門タレント。使いみちが限定されるうえ、大御所として扱わなければならず正直言って使いたくない。視聴率が取れるわけでもないし。本気で彼女をいさめる人がいないのは不幸だと思います」
やがて「いいかげんにせんかい」と言われる時代が来るのかもしれない。