薬師丸ひろ子(51)主演で大ヒットした映画「セーラー服と機関銃」の続編が来年春に公開される。“1000年に1人の逸材”と言われたアイドルの橋本環奈(16)を主演に迎えた大注目作。気になる中身を先行公開する!
「35年ぶりの新作は、前作とはまったくの別物。時代設定も違うし、原作になかったイマドキの要素がふんだんに詰め込まれており、いわば現代版です」
こう打ち明けるのは映画関係者だ。この「現代版」について触れる前に、前作をおさらいしたい。
81年12月に「お正月映画」として公開された「セーラー服──」は赤川次郎氏の同名ベストセラー小説が原作。高校2年生の主人公・星泉が父の死をきっかけに、「目高組」の組長を襲名。敵対組織との抗争や難事件に挑んでいく。セーラー服姿の女組長に扮した薬師丸ひろ子が機関銃をぶっ放し、直後に発したセリフ「カ・イ・カ・ン‥‥」は流行語にもなった。
映画評論家の秋本鉄次氏が振り返る。
「当時の角川映画といえば、宣伝が派手なだけで内容がないという批判の声もあった。大人の女性好みの私としては、まったく食指が動きませんでしたが、作品の出来は上々。薬師丸が持つ10代特有の色香を、鬼才・相米慎二監督がうまく引き出し、ヒットに結び付けました」
同作は47億円の興行収入を記録し、82年の邦画部門で1位に輝いた。その後のドラマ版では、原田知世(47)、長澤まさみ(28)が主人公の星泉を演じ、本作の橋本は“4代目”となる。
「今の心境は、ただただ感じたことのない重圧でいっぱいです」
6月23日に行われた製作発表会見で、橋本がこう不安をあらわにしたのも無理はない。芸能評論家の三杉武氏が解説する。
「目に力強さがあり、女優向きだと思いますが、演技の経験はほとんどありません。ただ、ブレイクしたあとも、福岡を拠点にローカルアイドルとして活動を続けていたほど責任感は強い。長期の映画撮影も乗り切れるでしょう」
プレッシャーをはねのけ、人気女優として羽ばたけるかどうかは、この映画の成否にかかっている。前出・映画関係者が明かす。
「シナリオは今年4月には完成していました。主演女優の名前が伏せられていたために、一部では『過激なシーンが多くて、大手プロの女優は全員オファーを断った』という噂まで流れました。それだけ内容がエグいと評判だったのです」
原作本で、卒業を控えた星泉が立ち向かうのは、街の住民に立ち退きを迫る地上げ屋集団。さすがに時代錯誤な印象は否めず、大幅にアレンジされた。
「映画では星泉の友人がさまざまなトラブルに巻き込まれる。ドラッグの売買に関わってしまったり、闇カジノで多額の借金を背負ったり‥‥。少女が悪質なスカウトにだまされて、ビデオへの出演を強要されるシーンもありました。出てくるネタが暗いだけに、橋本さんの演技でカラッとした大衆作品に仕上がるといいのですが‥‥」(前出・映画関係者)
映画を製作する角川映画としても、この作品をヒットさせたい事情がある。
「来年は角川映画40周年という節目の年。近年はヒット作に恵まれていないこともあって、『セーラー服──』のヒットを足がかりに、『蘇る金狼』など名作のリバイバルブームを起こし、東宝、松竹の2強に一矢報いたいという思惑がある」(映画雑誌編集者)
現代版「セーラー服~」が角川映画に「カ・イ・カ・ン」をもたらすか──。今から公開が待ち遠しい。