ハミングしながら頭突きや肘打ちで瓦を割るCMをご存じだろうか。いかにも清楚な顔だちの武田梨奈(24)は注目の女優だが、最新作では「驚愕のシーン」に挑んでいる。
「最初に台本をいただいた時、自分がこの役を演じることが想像すらできなかったんです。そんな自分が悔しいのと、新たな役に挑戦してみたいという思いから引き受けました」
並の製作発表では聞かれないような“悲壮な覚悟”がうかがえる。10月3日より全国順次公開される「木屋町DARUMA」(配給・アークエンタテインメント)という映画で、武田はヒロインの友里に扮しているが、確かに一筋縄ではいかない作品である。
武田といえば、琉球小林流空手の二段を持つ。これを大きくアピールすることになったのが、14年2月からオンエアされた「セゾンカード」のCM。フランス語の歌を口ずさみながら、積み重ねられた瓦を涼しい表情で頭突きして打ち砕く。海外メディアからも注目され、続編として肘で割るバージョンも公開された。その後も初主演ドラマ「ワカコ酒」(テレビ東京系)や、公開中の「進撃の巨人」(東宝)にも出演するなど、赤マル急上昇中の女優である。
そんな武田が「想像すらできなかった」とは、どんな役か? 演じた女子高生の友里は、借金まみれの父親(寺島進)によって運命が激変する。
「ただいまー、ひっ‥‥えー! 何なん?」
制服姿で帰宅すると、そこには本作の主人公である元ヤクザの勝浦(遠藤憲一)がいる。勝浦は子分の不始末により、敵対する組織の報復で四肢を失う。その体で多重債務者のもとに派遣される「取り立て屋」として生計を立てている。
「お嬢ちゃん、わし、ロ◯コンやねん。あー、ビールこぼれた。お嬢ちゃん、拭いてんか」
涙をこらえて勝浦の股間をおしぼりでぬぐう友里。結局は風俗嬢として売られるのだが、その店は変態プレイの専門店だった。店長から「講習」の名目で、さっそく洗礼を受けることになる。
「おー、かわいいなあ。ノド渇いてるやろ。さあ、飲み飲み、元気になるで」
コップに入った液体を口に含むと、友里はすぐに吐き出す。
「何ですか、これ」
「俺のオシ◯コや」
抵抗する友里は店長に殴られ、おとなしくなったところで顔面をねぶり回される。そして覚醒剤と変態調教により、セックスなしではいられない体になっていった。
ハイライトは、数カ月後に寺島扮する父親と再会する場面。ド派手に変貌した娘に父親はつぶやく。
「友里、お前、大丈夫なんか?」
「うち今、楽しいねん。毎日、SMもスカ◯ロも、キメセクも乱交も、何でもやってんねん。この間なんかな、セントバーナードのチ◯ポも舐めてん」
やがて物語は、それぞれが抗うことのできない悲劇に向かって進んでゆく。
武田は、撮影終了後にこう語っている。
「私はどんどん堕ちていく役なんですが、こんなに自分の感情のキャパを超えたのは生まれて初めてです」
主人公・勝浦の「生きる」というエネルギーもそうだが、武田が演じた「感情のキャパ超え」も必見だ。