競馬界の番長こと藤田伸二騎手(43)が突然引退を表明。その“引退ショー”が幕を切ったのは札幌競馬最終日の9月6日だった。スポーツ紙記者が話す。
「7R終了後、騎手免許の取消願いを叩きつけるように提出するや、JRAの職員が引退会見やセレモニーについての相談を切り出しても『そんなの知らん』と言い残し、『ちょっと待って』と困惑する職員たちを尻目に駐車場に向かった。実は最終12Rの騎乗依頼を断っているんですが、最終だと記者たちに囲まれやすいから、それを避けるためだったのかもしれません」
翌日、JRAは、わずか本文2行だけのリリースをマスコミ各社に配信した。
「通算1918勝(GI17勝)ジョッキーの引退リリースとは思えないもので、両者の確執の深さがうかがえました」(前出・スポーツ紙記者)
藤田騎手は競馬サイト「UMAJIN.net」に次のような手書きの引退メッセージを載せている。
〈競馬会にも迷惑かけました。だから引退する時はサッと居なくなるつもりで決めてました〉
さらに、一部の騎手に有力馬が集中するエージェント制の弊害を強く訴え、〈リーディングの順番が年頭から決まっているような世界。何が面白いのか?〉と、モチベーションの低下を引退理由にあげている。スポーツ紙デスクが言う。
「13年に上梓した『騎手の一分』の中でもエージェント制について嘆き、JRAに真っ向からかみついている。彼自身も3年ほど前までは敏腕エージェントのお世話になっていたが、その人が亡くなられ、事態が一変。時には意外な騎乗依頼に『あんな馬に乗れるか』『こんなんじゃ、もうやってられないよ!』と、声を荒らげていたこともあった」
確かにここ数年、目先の1勝のための安易な乗り替わりが増え、かつてのような騎手と馬の名コンビが減りつつある。そこにロマンを感じるファンにとってはさみしいかぎりだ。
「7月の函館開催中に、ジョッキールームで執筆していたという情報があります。暴露本第2弾なら楽しみです」(前出・スポーツ紙デスク)
常にファン目線で競馬界に辛口な提言を送っていた藤田騎手。今後はファンに向けて“藤田流”の恩返しを期待したい。