「放射線治療によって『もう子供は産めなくなる』とお医者さんに言われた時は本当にショックでした。病院を何カ所も回って他の選択肢を探しましたが、信頼できる先生に『あなたの命に関わることです』と言われ、最終的には自分で結論を出しました」
ガン闘病を振り返るのが夏目亜季(24)。13年4月放送のスペシャルドラマ「GTO──」(フジテレビ系)に出演後、バラエティ番組やアニメ関連のイベントと活躍の場を広げていたやさき、14年秋に子宮頸ガンと診断された。
「忘れもしません。9月18日です。子宮にできたガンは3センチくらいの大きさになっていました。母が付き添いに来てくれたので取り乱すことはありませんでしたが、家に帰る途中、ガンだという実感が湧いてくると、涙がポロポロ流れて‥‥。立って歩くこともできませんでした」
その後の検査ではリンパ節への転移も判明。予断を許さない状況で、翌月から治療が始まった。中でも子宮内に直接放射線を当てる「腔内照射」は大きな痛みを伴った。
「分娩台のようなベッドに寝そべって、長い管状の装置を膣に挿入するのですが、子宮口を広げる時の痛みは、とても言葉では言い表せません。これが1回につきおよそ1時間半で、計4回ありました。周りは男性スタッフばかりで、精神的にもキツかったですね」
並行して抗ガン剤も服用した。乳ガンを患った元プロレスラーの北斗晶(48)が、治療に備えて長い髪をバッサリ切ったニュースは記憶に新しい。
「幸いなことに髪は1本も抜けませんでした。ドラマの影響で、髪が抜けたり、吐いたりっていうイメージ強いかもしれませんが、実際はガンの種類や進行具合によって、副作用も全然違うんですよ」
夏目が苦しんだのは、吐き気を抑えるためのステロイド剤がもたらす副作用だった。
「『ムーンフェイス』と言われる症状で、顔がパンパンに膨れ上がって、とても人前に出られない状態になってしまって‥‥。ヤバすぎて鏡も見たくなかったですね」
今年1月14日、医師から「ガンは消えました」と告げられたことで、約2カ月にわたる闘病生活は幕を閉じた。だが、まだ完治とは言えず、症状が治まった「寛解」という段階だ。
「4月には、復活コンサートを開催しました。治療中はブログやツイッターでたくさんのファンから励ましの声をいただいたので、早く元気な姿を見せたくて。今は週2回ペースでライブ活動をしていますが、ボランティア活動にも積極的に参加して、早期発見の大切さを訴えていきたいですね」
取材当日、ステージに立った夏目は再発の恐怖心を微塵も感じさせなかった。
ガンから生還し、以前に増して精力的に生きる不死鳥芸能人たち。彼らの笑顔は、ガンが「不治の病」ではないことをあらためて教えてくれる。