3月7日に開始された韓国での米韓合同軍事演習は、4月30日まで行われる。これに対して北朝鮮は、3月21日にミサイルやロケット弾を5発発射して威嚇、猛反発の姿勢を崩さない。それもそのはず、米軍内では「金正恩暗殺計画」が進められ、しかもそれを「公表」するという異常事態が起きているからだ。
米軍は沖縄駐留の4500人を含む7000人以上。韓国軍は3000人以上。合計1万1000人超の兵士が投入された過去最大規模の演習というだけでも、十分に北朝鮮と金正恩第一書記(33)を刺激するものだ。北朝鮮の軍事情勢に詳しいジャーナリストが明かす。
「今回、米軍の『作戦行動計画5015』が採用されている。この作戦コードの『50』は『朝鮮半島』を意味します。これまで『5027』という作戦行動計画がありましたが、これは北朝鮮軍の南進に対する対応作戦だった。今回の『15』は『核承認者の排除』を意味します。すなわち、核爆弾のスイッチを押せる金正恩を抹殺する、という暗殺決行のサインにほかなりません。これまで『コード15』はウサマ・ビン・ラディンやジハーディ(聖戦士)・ジョンと呼ばれた男に対して使用され、成功しました。イラクのフセイン元大統領の時は成功には至らず、全面戦争に持ち込んでいます」
こうした暗殺計画は通常、表に出ることはなく、「標的」に事前に知られることもありえない。ジャーナリストが続ける。
「ところが今回、米軍はこの作戦の発動を公表し、北朝鮮および金正恩はその事実を把握することになった。米軍内では独裁者暗殺に向けての具体的な動きが綿密に練られ、一部はすでに実行に移されているとの情報もあります。『ジョン』の処刑時と同様、無人戦闘機が使用される可能性もあるでしょう」
米軍による公然たる宣戦布告。そして具体的な手法。暗殺計画はここまで進んでいるのだ。
では金正恩暗殺によって北朝鮮で何が起こるのか。
「北朝鮮を追われ、現在は中国に亡命中の金正男(44)をトップに据えるのです。彼は中国政府の大物政治家と密接な関係にあり、まさに中国べったり。友好国であるはずの中国にすら牙を剥く金正恩とは違う。中国は儒教文化圏で、長男が家督を継ぐことが当然という認識があります。金正男を北朝鮮に戻すことで、あらゆる面で中国の支援を取りつけ、関係を強固なものにする狙いがあります。そして北朝鮮内には今もなお、金正男に忠誠を誓うグループがかなりあるのです」(外信部デスク)
実は今回の米軍の作戦以前に、北朝鮮国内ではすでに金正恩暗殺の動きがあった。13年に金正恩の側近であり叔父に当たる張成沢が銃殺処刑されたが、
「暗殺計画が発覚したからです。張氏は金正恩を殺し、金正男を代わりに迎えるつもりでした。昨年12月、交通事故死したと伝えられた金養建統一戦線部長も、同じ計画を実行しようとしていた。それが発覚し、自動車事故を装い粛清されることになったのです。交通量の少ない道路での、非常に不自然な事故でした」(前出・ジャーナリスト)
さらに、今年2月に処刑された李永吉総参謀長も、3人目の刺客として動いていたとされる。
今回の米軍による「5015」作戦は、そうした北朝鮮国内での動きを具現化するものとなりうるのだ。
オバマ大統領は来年1月に任期を終えるが、
「当然ながら、任期終了前に、歴史に残る大政策を成し遂げようと試みます。それがキューバとの国交回復に加え、北朝鮮工作なのです」(前出・外信部デスク)
激突の行方やいかに。