4月14日午後9時26分頃、熊本県で震度7の激しい揺れを観測する地震が発生した。専門家は活断層による直下型地震の可能性が高いと見ているが、これがさらなる大地震の呼び水になったというのだ。
地元記者が言う。
「震度7を観測した益城町(ましきまち)付近は2つの活断層が交わっており、地震が起きやすい場所として知られている。政府の地震調査委員会の長期評価によると、熊本県中部では布田川(ふたがわ)断層帯と日奈久(ひなぐ)断層帯がそれで、いずれもほぼ北東から南西方向に走っており、益城町付近で交差しています」
実は、週刊アサヒ芸能では13年2月21日号で〈「M8九州大地震が近い」戦慄データ続出の不気味〉と題して報道。九州大地震火山観測研究センター・清水洋所長がこう「警告」を発していた。
「九州中部地方の断層は、一気に割れずに細かく砕けていくのが特徴。最初の揺れよりも小さい規模の余震がしばらく続く可能性が高い。布田川・日奈久断層帯は、もし一気に動くと、九州では経験したことがないM7.5~8クラスの大きな地震を発生させる潜在力を持っている」
不幸にして予測が現実になった形だが、今回の震度7の地震規模はM6.5と、阪神大震災(M7.3)を下回った。
「震源が浅いので、狭い地域で大きく揺れたというのが専門家の見方です」(前出・地元記者)
震源の真上付近では強い揺れに見舞われ、局所的に震度7になったと見られる。気象庁地震火山部・青木元地震津波監視課長は記者会見で、
「たいへん強い揺れが発生し、被害も発生している。1週間程度は余震が発生するおそれがある」
と語ったが、実際、14日だけでも震度1以上の有感地震が40回、最大震度6弱が1回、同5弱が1回、同4が9回と続いた。日付が変わり15日になっても、6強、5弱と揺れている。15日朝6時現在の余震は103回を数えた。琉球大理学部の木村政昭名誉教授(海洋地質学)が言う。
「今回の地震は活断層が動いた結果ですが、それには原因があると見なければならないと思います。すなわち、日向灘沖にある地震の空白域です。それが布田川断層帯と日奈久断層帯を刺激して、今回の地震を起こしたと考えられる」
空白域とは、これから地震が起きる可能性のある、緊張状態にある場所のことを言う。
さて、近畿から四国の北部を横切り、九州の熊本県に至る中央構造線断層帯はM6以上の大規模地震のリスクを内包する大活断層帯と言われる。地震学者である武蔵野学院大の島村英紀特任教授が指摘する。
「記録には残っていませんが、中央構造線断層帯はこれまでもたびたび、大きな地震を起こしている。今回のものは日本人が初めて目にした中央構造線の地震です。背景には、南海トラフのプレッシャーも関係あると考えられる。しかも、中央構造線断層帯は『3.11』以降、かなりエネルギーがたまった状態になっているはずです」
前出の木村名誉教授も、
「日向灘沖は南海トラフの西端にあたり、相当なエネルギーがたまっているはずです」
過去、南海トラフでは複数の地震が連動して起きている事実がある。すなわち、今回の熊本地震は、これをきっかけに起こるであろう日向灘沖地震が南海トラフ地震と連動する「玉突き大地震」の前兆だというのだ。
震度7の地震から1日余りが経過した4月16日未明になって、今度は熊本市、菊池市、宇土市、宇城市などで震度6強でM7.3の地震が発生。気象庁は14日の地震は、この地震の「前震」に当たるという見解を示した。
たまりにたまった「エネルギー」が爆発するのはいつなのか──。