元アイドルの女子大生がファンに刺された事件を受けて、5月23日放送の「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日系)でも同事件を特集。そこで交わされたコメンテーターの発言が的外れだとして、アイドルファンの怒りを買っているという。アイドル誌のライターが語る。
「怒りの標的となっているのはレギュラーコメンテーターの玉川徹氏(53)、そして日替わりコメンテーターの石原良純(54)と住田裕子弁護士(64)です。彼らは事件の原因がツイッターなどのSNSやブログにあると断定し、アイドルがファンと距離を縮めることにも疑問を示すなど、昔は違ったという論調に終始。しかし芸能人を標的にした事件は昔からいくらでもあり、根拠もなくSNSが原因だという論調を垂れ流すのは無責任のそしりを免れませんね」
同番組で石原は「昔だったらね、それこそファンレターを送るのかな」と語り、SNSのリアルタイム性が犯行を助長したと主張。玉川氏も「昔は手紙が来たって、返さないことが当たり前だった」と、SNSの双方向性に問題があると強調だ。また住田弁護士は「ブログ、ツイッターやめてしまおうっていうのも一つの手だったんですよ」と、タレントには不可能な対策法を提示する始末。いずれも「昔はこんな事件はなかった」と言わんばかりの論調だが、現実はまったく異なっているのである。
芸能人を狙った犯罪は、57年の美空ひばり塩酸事件や63年の吉永小百合ピストル襲撃事件、77年の岡田奈々監禁事件、83年の松田聖子襲撃事件、93年の三浦百恵自宅侵入事件など昔から珍しくない。またネット時代より以前のほうが、ファンの行動も過激だったと指摘するのはベテランの芸能ライターだ。
「85年に結成されたおニャン子クラブでは、メンバーが乗るタクシーと追っかけファンの間で壮絶なカーチェイスが勃発。メンバーの自宅では表札や植木鉢が片っ端からファンに盗まれるなど、直接的な被害は今よりも多かったくらいです。その当時の悪質ファンは、タレントがテレビやラジオを通じて自分にメッセージを送ってくれていると、身勝手な双方向性を妄想していました。だから現代のアイドルに『ブログやツイッターをやめろ』と言うのは、昔の芸能人に『テレビに出るな』とアドバイスするようなもので、まったく意味がないのです」
そんな石原たちの発言に対し、アイドルファンからは「昔は良かったと繰り返すだけの老害」との批判が続出している。悪質ファンの心理や行動という根幹に迫らず、責任をSNSに押し付ける年寄りコメンテーターには、犯罪を未然に防げなかった警察を批判する資格はないのかもしれない。
(金田麻有)