夏の都議選を見据えて、新春「小池劇場」が開幕した。宿敵・都議会自民党に「宣戦布告」した小池百合子都知事は、各会派と連携して包囲網を構築。「小池新党」参戦に向けて盤石の体制が整う中、突如、安倍政権のキーマンが“舌禍”で奇襲攻撃──激化する都議選「ゲリラ暗闘」の内幕を全部書く!
1月4日、都庁で仕事始めに臨んだ小池百合子都知事(64)は、都議会各会派に挨拶回りを行った。火花を散らした都議会自民党の都議らと談笑する場面も見られたものの、同党の高木啓幹事長(51)から「お正月はどうでしたか?」と質問されると、小池氏は、
「お正月はいろいろと案を練っておりました」
と、不敵な笑みを浮かべて答えたのだった──。
微笑の背景にあるのは、「小池劇場」の大きなヤマ場となる夏の都議選。実は、小池氏は年明け早々から休む間もなく奔走していたのだ。
自身の政治塾から40人前後の候補者を擁立するため、筆記試験を実施。その後の面談で候補者を選定してしぼり込む。受験者には、元テレビ朝日アナウンサーの龍円愛梨氏(39)や故・鳩山邦夫氏の長男・鳩山太郎氏(42)など著名人も参加。候補者選びについて、小池塾関係者はこう話す。
「知名度の高い候補者がいれば戦いやすいけど、誤解を恐れずに言えば、『のっぺらぼう』でもいいんです。無名でも小池塾出身という肩書があれば、今回の選挙は戦えると思います」
出た者勝ちの状況に、小池派は“ゲリラ部隊”のごとき様相となっている。ばかりか、「小池百合子」という「勝ち馬」に乗るため、それぞれの会派(党)が名乗りを上げようとしているのだ。
衝撃が走ったのは、これまで共闘していた都議会自民党と公明党の議員報酬削減案を巡っての対立だ。昨年12月14日には「自民党との信義は完全に崩れた」として、公明党側が決別を宣言した。協力関係を解消した公明党は、小池氏と手を組むことに前向きで、小池氏も都議会閉会後、
「東京大改革という大きなテーマに向けて一緒にやっていける」
と、報道陣に相思相愛の思いを明かしている。東京新聞編集委員の五味洋治氏はこう説明する。
「公明党は支持母体の創価学会が東京にあるため、都議選で勝つことを重視しています。自公で組んだまま選挙に臨み、小池ブームが再燃して、万が一でも、議席を落とすなんてわけにはいかないのです」
公明党のなりふりかまわぬ戦法に、自民党関係者は冷静である。
「議員報酬削減案で対立したというのは、あくまでも表向きの理由。公明党の事情はわかっているので、小池さんに近づいても驚きはありません。実はそれほど自公の関係は悪くなっておらず、2月の千代田区長選では水面下で協力することになっています」
都議選では、民進党も小池氏と選挙協力の協議を始めることで合意したが、小池氏周辺はこう語る。
「共産党とも協力関係ができていて、都議会自民党への包囲網は着実に狭まっています。民進党が協力してくれるならムゲに断る必要はないですが、懐疑的な声も聞かれます。むしろ足を引っ張る可能性が強く、疫病神になるんじゃないですか」
どうやら、がっちり手を組むという雰囲気ではないようだ。