東京五輪の会場見直しや予算を巡って小池百合子東京都知事(64)を猛然と批判し、バトルを繰り広げたのは、五輪組織委員会の森喜朗会長(79)である。小池氏にとっては、五輪開催を進めるうえで、ことあるごとに立ちはだかる障壁。そんな「天敵」を追放すべく、ついに動き出した!
都議会自民党の都議2人が1月25日、築地市場の豊洲移転や東京五輪の問題などで、百条委員会の設置を求める会見を開いた。百条委員会は地方自治法第100条に基づく特別委員会で、出頭を拒否すれば刑事罰が科される。さらにウソの証言をすれば偽証罪に問われ、証言・資料の提出拒否にも、禁錮刑を含む厳しい罰則が科せられるのだ。もし設置が決まれば、石原慎太郎氏(84)や舛添要一氏(68)、そして森氏らが出頭することになる。政治部記者が語る。
「小池氏は五輪利権絡みの献金疑惑で、『頭の黒いネズミ』と揶揄した森氏を追及するつもりのようです」
森氏は12年の衆院選に出馬せず政界を引退したが、その後もみずからの政治資金管理団体を存続させている。そして、この「春風会」には複数の五輪関連企業からの献金があるのだ。
そんな森氏を追い込むべく、はからずも小池氏とタッグを組む形になったのは、昨年の都知事選にも出馬し、かねてから森氏の五輪利権疑惑に言及していた山口敏夫元労働相(76)である。山口氏が言う。
「森氏は五輪組織委員会を独善的に運営しているため、関連事業施設発注計画の大半は、森氏の専権事項となっています。彼は組織委員会の会長を『無報酬でやっている』としらばっくれているけど、とんでもない。春風会は13年からの4年間で、6億円近い政治献金をかき集めている。しかもその50%以上が、東京五輪関連の受注企業絡みのものであると思われます。例えば、新国立競技場の建て替え工事を受注した大手ゼネコンの大成建設は、森氏とは昵懇の関係。後援会の機関誌『春風』にも、1ページ当たり100万円ほどするという高額な広告を何度も掲載しています」
こうした広告費は、政治資金収支報告書に記載されない「隠れ政治資金」になっている疑いがある。また、新国立競技場はコンセプトを「木と緑のスタジアム」とし、建材に木材を取り入れることが決まっているが、
「建材にはカーボンファイバーなどで強化した特別な木材を使う、と設計者の建築家・隈研吾氏が公言しています。その技術研究面で隈氏をスポンサードしているのが、繊維メーカーの小松精練。同社は森氏に、13年からの3年間でパーティ券購入などで330万円の政治献金をしています」(前出・政治部記者)