内閣改造してもV字回復しない安倍総理の支持率。その大きな原因となっているのが、“腹心の友”加計孝太郎氏率いる加計学園の問題が不透明決着したからにほかならない。国会の追及を逃れるように姿を消した渦中の人物は、地元では「優しい独裁者」と呼ばれ、大物理事長として君臨していた。その正体とは──。
「食事代は私がごちそうすることもあるし、先方(加計氏)が持つ場合もある」
7月24日の衆院予算委員会で安倍晋三総理(62)は、疑惑の渦中にある「腹心の友」、学校法人「加計学園」(岡山市)の理事長・加計孝太郎氏(66)との公私にわたる深い関係について、公然と認めた。そのうえで、両者の関係は、利益供与ではなく接待を禁じる大臣規範には抵触しないとの考えを示している。
安倍総理が成蹊大を卒業後に留学した米国で出会い、親交が始まったのは有名な話だ。総理の座に返り咲いてからも、全国紙の首相動静にはたびたび加計氏の名前が載り、時には昭恵夫人(55)も交えて、ゴルフや食事をしていることが確認できる。
「13年5月に安倍総理がミャンマーを訪問した際、政府専用機で外遊に同行していたことも『加計問題』が取りざたされて明らかになっています」(政治部記者)
いわゆる「加計学園問題」では、「加計学園」の獣医学部新設を巡って安倍総理からの「天の声」があったのではないかと疑問が呈されたが、国会での集中審議では、具体的な“証拠”は提出されず、灰色決着を迎えようとしている。
しかし、安倍総理と加計氏のズブズブの関係は、第二次安倍内閣が誕生した2012年12月以降、急接近。これまでの4年半余りの間に、実に16回も面会していることが明らかになっている。ジャーナリストが語る。
「一部報道では、加計氏は安倍総理に関して『年に1億円は使っている』『旅費は全部出している』と吹聴していると言われているほどで、完全に安倍総理とはパトロン的関係です。その親しい関係を通じて、加計氏は政治家や閣僚とも交際の幅を広げてきた。実際、第一次内閣では面会の回数はゼロですが、ここ数年で急激に増えています」
その内訳も、赤坂の日本料理店をはじめ、渋谷の焼き肉店や東京駅に程近いエグゼクティブラウンジなど、セレブそのもの。さらには、ゴルフ接待やゴルフ場近くの居酒屋での会食など、いかに親しい間柄か、わかるというものだろう。
にもかかわらず、安倍総理が加計氏の計画による「獣医学部新設」を、今年の1月20日まで知らなかったというのは常識的には考えづらい。加計氏の父・勉氏(故人)の代から加計家と長いつきあいを続ける、参院岡山選挙区だった江田五月元参院議長はこう話す。
「10年以上前に孝太郎さんから、(加計学園グループの)岡山理科大か、別の大学に作るかは決まっていませんが、獣医学部の新設に向けて動きだしているのは聞いたことがあります」
これまで52年間も新設がなく、「岩盤規制」と揶揄される獣医学部開設にまでこぎつけようとした“執念”にこそ、加計問題の本質が隠されているのだ。