テリー では、北朝鮮問題に関してはいかがですか。韓国の文在寅大統領は、基本的に融和政策の方向で、金正恩委員長との対話も辞さないと言っていますが。
石破 当事者は北朝鮮のように見えますが、実はこの問題の本質は米中関係にあるんです。だから米中で北朝鮮をどうするかに関して、合意を見ないかぎり、進展は難しい。
テリー そんなこと、できるんですか?
石破 可能性はあると思いますね。もし北朝鮮が戦争を始めたら、中国はいちおう同盟国ですから「知らん」というわけにはいきません。でも、中国はご存じのとおり、北朝鮮を好きでも何でもないし、戦争が始まれば、北朝鮮から難民がドドドッとやって来るしで、いいことなんて何もない。
テリー なるほど。
石破 最終的に、その戦争にアメリカが勝って、アメリカの同盟国としての統一朝鮮ができるようなことになると、中国はアメリカの同盟国と国境を接することになってしまう。それは中国にとって、ものすごく嫌なことでしょう。
テリー ああ、だから中国は北朝鮮を支えることになるんだ。
石破 おっしゃるとおりです。だから例えば「北朝鮮の戦争に加担する必要はない。もし難民が中国に押し寄せたら国連が責任を持って面倒をみる」とか、「統一朝鮮は作らせない。今の金正恩体制さえ変われば、あとは好きにしていい」とかいう提案がありえれば、中国だって考えるでしょう。実際、それができるのは、アメリカだけなんです。
テリー それは納得しましたけど、日本はどうするんですか? 今、北朝鮮に対して迎撃ミサイルを配備していますけど、もう一つの選択肢として、北朝鮮と話し合う方法はないのかな、と。だって、迎撃ミサイルって必ず当たるわけじゃないですよね。
石破 いやいや、テリーさん、当たりますって。ただし「飽和攻撃」と言って、日本の迎撃ミサイルの数よりも多くのミサイルが飛んできたら全ては落とせないでしょう。
テリー ですよね。そんなリスクを背負うくらいなら、「仲よく」という言葉が適切かどうかはわからないですけども、そういう方針もあるんじゃないかと思うんですよ。というのも、この前、拉致被害者家族の皆さんが方向転換したじゃないですか。今までは何十年も「北朝鮮に経済制裁しろ」と言っていたのが、「これはいくらやっても効果がないし時間がかかる、もう少し北朝鮮と仲よくすることも大切なんじゃないか」と。現実問題として、いつまでも兵器開発・配備の追っかけ合いなんかしていたって不毛じゃないですか。
石破 実際、拉致問題については、いろいろありますけど、これは何より人道問題なのだから、解決するために一点集中でやることはできないのか、とは思いますね。もう横田めぐみさんのご両親も80歳を過ぎて、お体の調子も決してよくないご様子ですし、日本政府として全力を尽くすというのは、一つの選択だと思います。
テリー 例えば、石破さんが総理大臣になったら北朝鮮に行かれますか?
石破 私がどうこうではなくて、「拉致問題のためだけに北朝鮮へ行くんだ」ということには、とても意味があると思いますね。
テリー いや、これはもう石破さん、ぜひ行ってくださいよ。