一方、逆転リーグ優勝がきわめて厳しい2位の阪神は、激しい3位争いを繰り広げるDeNAと巨人のどちらかに飲み込まれてしまうことを恐れている。金本知憲監督(49)も「上を意識していて、下に食われたんじゃあシャレにもならんわな」と周囲に漏らしており、2位でのCS出場を“最低ライン”と位置づけている。
とはいえ、チーム内には頭の痛い問題が頻発。最大の悩みが「ノーコン病」に苦しむ藤浪晋太郎(23)である。9月5日の広島戦で先発したものの、4回5失点。安定感に欠ける内容で、大物OBたちからも「とても戦力とは言えない」とダメ出しを連発されているありさまだ。
「金本監督も内心、我慢の限界に達している。ただし先発の枚数が足りない以上、精神的に心底弱りきっている藤浪に罵声を浴びせて追い込み、二度と使い物にならなくなるようなマネだけはしたくないんです。何せ藤浪は、チームスタッフに『野球やってておもしろくない』とつぶやいたり、2軍調整中に“イップス”になったりと情緒不安定なところがある。もともとは『アイツがこのチームを支えるようにならなきゃダメ』というのが金本監督の口癖ですから、藤浪をシーズン終盤とCSのキーパーソンとしたいようですが、藤浪へのこだわりが致命傷となりかねません」(球団関係者)
金本監督には、みずからが掲げた「超変革」が思うようにはかどらないジレンマもある。昨季大ブレイクした高山俊(24)や原口文仁(25)ら、金本チルドレンたちが今季は不振で2軍調整を強いられ、伸び悩んでいるからだ。
「金本監督は高山や原口をシーズン終盤までに引き上げ、起用したいという思いをまだ捨てていない。そういえば先日、一部でオフの日本ハム・中田翔(28)のFA争奪戦から撤退したと報じられましたが、『超変革』と逆行する補強は金本監督の意思に反しますからね。しかも中田はポジションが高山の左翼、原口の一塁と両方でかぶってしまう」(球団幹部)
CSをにらむシーズン終盤の戦いでは「超変革の顔」たちを再登用し、来季に向けた“中田不要”のチーム編成を構想したいところだろう。もちろん、都合よく結果が出ればの話だが‥‥。
最後は首位を突っ走る広島だ。球団史上初となる2年連続のリーグVはもう目前。今季も圧倒的な強さとともに独走でゴールインしそうな気配だが、やはり“下克上”のあるCSは怖い。ファイナルステージでは1勝のアドバンテージがあり、本拠地のマツダスタジアムで戦う“地の利”を生かせる点も大きいが、現場の多くは、「あの球団がはい上がってきたらやっかいだ」と口をそろえて警戒する。
「8月22日から24日まで3夜連続でサヨナラ負けを喫し、セで唯一負け越している(9月8日現在、以下同)DeNAではなく、巨人ですよ。一部の報道では『CSにはジャイアンツが来てくれたほうがいい』という記事がありましたが、本音はそうじゃない。巨人が現在の4位からはい上がってきたら、きっと捨て身の覚悟で挑んでくるはず。レギュラーシーズンではウチがカモにしていたから、相手はその屈辱を晴らそうとダメ元で乗り込んでくる。“もう失うものは何もない”と一致団結した盟主・巨人ほど怖いものはない」(チーム関係者)
右足首の剥離骨折で今季中の復帰が絶望となった鈴木誠也(23)の抜けた穴も不安要素だ。穴埋め役の出現が待たれるところだが、思うようにはいかない。前出のチーム関係者は言う。
「本来ならば、外野守備もできて長打力も兼ね備えるはずの堂林翔太(26)が誠也不在のピンチを救うべき存在なのですが、いかんせん開花しない(2割1分7厘、1本塁打、11打点)。堂林は、かつて松田元オーナー(66)が自身の携帯ストラップとして『堂林マスコット』を付けていたほどのお気に入り。そういうオーナーの気持ちを忖度して緒方孝市監督(48)も我慢して起用しているが、もうここまでダメだと堪忍袋の緒も近々切れるでしょう。消化試合とCSでの猛アピールでもなければ、今オフのトレード候補筆頭となりそうです」
また、「結果が出ていることで緒方監督の権力が強くなりすぎている」との指摘も現場内部から聞こえてきた。
「これまで監督は投打において専任の各コーチに多くを任せていましたが、最近は相談せずに決めることもあるようです。不満を漏らすスタッフもいるようで‥‥」(球団関係者)
レギュラーシーズン、そしてCSを終え、最後に日本シリーズの桧舞台に立つセ球団は、はたしてどこになるのだろうか──。