7月の全米オープンで2位に輝き、メジャー制覇も時間の問題と言われる松山英樹(25)。今週は日本人初の米ツアー年間王者に挑むやさき、12年から続く“参謀”キャディーとの「別離」がささやかれ始めている。
男子ゴルフ世界ランキング3位(9月10日更新)の松山が、いよいよ今季米ツアー王者の座を狙うラストチャンスを迎えている。
米ゴルフツアーのクライマックスを飾る「フェデックスカッププレーオフ」。07年から、翌シーズンのシード権を得た125人が4試合で年間王者を競う。1試合終了ごとにカットアウトされていくサバイバルゲームは、9月21日に最終戦「ツアー選手権」を迎える。スポーツ紙デスクが解説する。
「松山は2試合を終えた時点でポイントランキング4位も、最終戦で優勝、あるいは上位陣が崩れれば、逆転で日本人初の年間王者に輝くチャンスです。同時に1000万ドル(約11億円)という破格のボーナスも手にします。第1戦で予選落ちして体調が気になるところですが、エースキャディーの進藤大輔氏(38)がいつもの笑顔で『(松山にとって)いい休日になったはず』と話していたので問題ないでしょう」
だが、他でもないムードメーカーの進藤氏が、今季限りで「チーム松山」を離れる公算が高いというのだ。テレビ局ディレクターがこっそり打ち明ける。
「大ちゃんが『もう疲れたよ。日本で仕事をしたいんだよね』と、親しいゴルフ仲間に漏らしているそうです。ビックリしましたね。確かに今季は飲みに行くと、『疲れるわ』と愚痴をこぼしていた」
進藤氏はこれまで松山の快進撃を二人三脚で支えてきた辣腕キャディー。12年に松山の熱烈なオファーに応えてコンビを組み始め、米ツアーに本格参戦した13-14年シーズンからエースキャディーを務めているが、ここ数年は単身赴任で松山に帯同してきた。前出のディレクターが続ける。
「松山が15年に拠点を米国のフロリダ州オーランドに移してからは、大ちゃんも09年に結婚した奥さんと小さな子供を日本に残し、職人気質で口数の少ない松山やトレーナーと寝食を共にしてきた。それこそキャディーだけでなく、マネージャー業務も肩代わりというハードな生活の中で、常にムードメーカーを務め、体だけでなく、ハートも疲れ、ストレスもたまったのが大きな要因でしょう」
まさに、進藤氏は松山のために黒子に徹してきたことで、疲れ果ててしまって、家族と一緒にいたいというのが本音だった。それだけではない。マネージメント会社幹部も、こう話す。
「進藤氏の別離の裏には松山の秘密主義が根っこにあるようです。隠すことのないおめでたい(昨夏の)婚約や(今年の正月の)入籍も、東北福祉大時代の恩師だけにしか報告してなかった。その後もずっと隠し、周囲に明かしたのは子供の誕生が迫ってからだった。プライベートなこととはいえ、誰でも『そんなに信用できないのか』とボヤきたくなる。試合会場で合流解散するだけの専属キャディーと違い、気難しい松山と常に一緒では、気苦労が絶えず、『もう疲れた』という気持ちになるのもうなずけます」