3月1日発売の「週刊文春」が伊調馨選手に対する日本レスリング協会強化本部長の栄和人氏によるパワハラ疑惑を報じた。
今年1月、レスリング関係者から内閣府の公益認定等委員会に一通の告発状が提出されたが、そこには栄氏の伊調に対する圧力について記されていた。圧力の内容は「練習拠点としていた警視庁への出入り禁止」「男性コーチに対する圧力」「男子合宿への参加禁止」など、伊調の練習環境が不当に奪われている現状を告発したものだった。「週刊文春」の取材に対し伊調選手は、練習を継続したいものの「“狭い世界なので”どこに練習に行ってもすぐにわかってストップがかかるかもしれない」など現在は練習もままならない状況であることを語っている。
「栄氏は女子レスリング界で6人の金メダリストを育てた人物。これだけの実績があるうえに今は協会の強化本部長で、常務理事という重要なポストにもついています。栄氏は至学館大学(旧・中京女子大学)レスリング部の監督も務めていますが、至学館大学の理事長で学長の谷岡郁子氏は日本レスリング協会の副会長。栄氏が可愛がっている吉田沙保里選手は同協会の女子強化委員で代表チームのコーチも兼任。しかも2016年には至学館大学の副学長に就任しています。ラインがしっかりできあがっている印象ですね。伊調さんも至学館大学の出身ですが、こうなった以上はこのラインからハジかれ、指導者としての道も閉ざされかねない。心配ですね」(スポーツライター)
スポーツの世界はどこも狭い“村社会”だというが、国民栄誉賞を受賞した伊調選手でさえ憂き目に会うとすれば、その闇はあまりに深い。
(笠松和美)