芸能

40年の歴史に終止符…女優たちが彩った「土曜ワイド劇場」傑作選!(1)樋口可南子が挑んだ幻の名作

20170316r

 物語が折り返しとなる夜10時に近づくと、女優の艶かしい姿が躍る。日本初の「2時間ドラマ」は、それが風物詩であった──。70年代から「土ワイ」の愛称で親しまれたテレビ朝日の看板枠・土曜ワイド劇場がこの3月、40年の歴史に幕を下ろす。忘れえぬ女優たちの名場面をここに、総力リサーチする。

 1978年1月14日にオンエアされた「幽霊列車」こそが、土曜ワイド劇場の流れを変えたと濡れ場研究の第一人者・松井修氏は言う。主演は76年のNHK朝ドラ「雲のじゅうたん」のヒロインも務めた、浅茅陽子(65)だ。

「それまで健康的なイメージだった浅茅が突然、ヌードを見せたんです。意外なほどの豊乳で、テレビの画面から胸も尻もはっきり見えたことに興奮しました」

 原作はベストセラー作家の赤川次郎、監督は日本映画界の巨匠・岡本喜八、撮影は女優を美しく撮る木村大作という豪華布陣であった。

「女優をその気にさせることで有名な木村カメラマンが浅茅の背中を押したんでしょうね。全裸の入浴シーンも、事件を解決したあとの田中邦衛とのベッドシーンも、覚悟がうかがえました」(前出・松井氏)

 土曜ワイド劇場──通称・「土ワイ」は、77年7月2日夜9時、渥美清主演「時間よ、とまれ」を第1作に誕生する。テレビ用長時間映画を意味する「テレフィーチャー」が、日本で初めて登場したことになる。

 第2作は山口百恵主演「野菊の墓」と文芸路線も混じっていたが、やがて「女優のエロス」を前面に出すことで人気が上昇。当初約90分だった放送時間も、78年12月23日から「2時間ドラマ」として定着する。

 実に40年もの間、話題作を提供してきた。水谷豊の「相棒」や市原悦子の「家政婦は見た!」など、この枠から連ドラに発展したケースも少なくない。さらに他局も土ワイにならえと「火曜サスペンス劇場」(日本テレビ系)や「月曜ドラマスペシャル」(TBS系)など、2時間ドラマが乱立する。

 そんな長寿シリーズ「土ワイ」の初期傑作とされるのが、樋口可南子(58)主演の「北海道殺人旅行 わたしの婚約日記」だ。81年7月11日にオンエアされ、今なお未ソフト化であるため、ファンの要望が高い幻の名作とされている。

 樋口は車椅子で生活する婚約者を持つが、その婚約者の窮地を助けてくれた殺人事件の指名手配犯(峰岸徹)にレイプされてしまう。男に殴られて気絶したため、この場面での樋口は何一つ反応を見せない。

 やがて樋口は婚約者の実家がある北海道に向かう。実家の祖母は身障者の孫と婚約してくれたことに感謝するが、そこに再び指名手配犯の姿。男に脅され、祖母が見ている前で再びレイプされる樋口。しかも今度は激しく体が反応し、悩ましいアエギ声を上げてしまうのだ‥‥。日本初のヘアヌード女優である樋口可南子の原点は、この作品にあると言えよう。

 そしてこちらの“日本初”は、今や一般にも広く普及した「熟女」を初めて名乗った五月みどり(77)だ。ロマンポルノの出演でも知られるが、82年8月21日にオンエアされた「冷たい血」もまたエロティック。副題が「幽霊男と初体験した妻」というのだから、いよいよ「土ワイ」がエログロ&サスペンスへと突き進んだ証しである。

 五月は、殺したはずの男(中条きよし)につきまとわれる女を演じている。定番の入浴シーンでは、全裸がはっきりと映し出され、さらに窓越しには「ヘアまで映った?」とウワサされる立ち姿ヌードもあった。

 妖艶な魅力を振りまく五月を風呂場で襲うのは中条である。後ろから豊満な乳房を揉み、そして荒々しく犯す。五月のせつない声と表情がテレビコードの限界を飛び越えた‥‥。

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