読者にとって、土ワイを象徴するのは「江戸川乱歩の美女シリーズ」で異論はなかろう。天知茂がニヒルな明智小五郎に扮し、難事件の解決と有名女優たちの艶シーンが見どころであった。
82年1月2日にオンエアされた「天国と地獄の美女」では、当時、人気急上昇中であった叶和貴子(60)が柔肌を見せている。
大富豪(伊東四朗)の若妻である叶は「夫」にねだるが、ねだった相手は実は夫とすり替わっている瓜二つの別人であるため、これを拒否。叶はしかたなしに浴室へ行き、全裸になってシャワーを浴びる。これが叶の貴重な初ヌードであり、25歳の肌が水をはじく若々しさ。
他にも白い女王ドレス風の衣装に透けて見える乳首など、見せ場は満載である。
83年1月1日、元日早々にテレビで女優エロスが炸裂したのが「天使と悪魔の美女」だ。お姫様女優と呼ばれた高田美和(70)、子役時代からの長いキャリアを持つ鰐淵晴子(71)、そして新人で売り出し中の美保純(56)がそれぞれに悩ましい姿を大胆に披露──。
ヒロインの高田は、莫大な遺産を受け継いだ青木(中村嘉葎雄)の妻に扮している。豪華な浴室で、夫の秘書である若い男が高田に迫る。
「どんなことがあっても離れません。奥様、愛しています」
男はそう言いながら、高田の豊満な乳房を揉みまくる。若い男の情熱を全身に浴びながら、うっすら涙を流す高田。実はその浴室の情事の一部始終を、夫がのぞいていたのだ。不能に悩まされる夫は、若い秘書を妻の浴室へと向かわせたのである。
さらに、秘書を愛している夫妻の姪である美保も、禁断のセックスをのぞいている。やがて美保は、高田の歌劇団時代の仲間である鰐淵にレズの手ほどきを受け、高田は久しぶりに回復した夫とセックス。鰐淵は中村とSMプレイを見せ、さらに鰐淵と高田の濃厚な熟女キスと、倒錯した多重愛欲シーンがそこかしこにお目見えする。
ヒロインを演じた高田美和が、40年の歴史への惜別を込めてコメントを寄せてくれた。
「つい最近、CSの再放送で観たばかりだったの。天知さんもステキだったけど、私の夫役の中村さんの淡々とした演技に役者としてのスゴ味を感じました」
いくつもの官能的なシーンがあるが、やはり若い男との風呂場セックスが白眉であろうか。
「その半年ほど前に公開された『軽井沢夫人』(日活)が大ヒットして、同じように若い男との愛欲に溺れるというイメージをドラマでも見せたかったんでしょうね。あまり生々しくなく、幻想的な映像に撮ってもらえたので満足しています。鰐淵さんとはこれが初共演で、若い美保純ちゃんも入って、刺激的なキャスティングだったと思います」
もう1本、同シリーズから傑作を選ぶなら、78年4月8日に放映された「死刑台の美女」だろう。まだ二十歳の女子大生だったかたせ梨乃(59)が、その爆乳ぶりを発揮している。
捕らわれの身となったかたせは、ベッドに手足をくくりつけられ、頭上には巨大な振り子ギロチンが少しずつ降りてきている。
鋭利な刃が白いシュミーズ姿のかたせに照準を合わせる。恐怖におびえるかたせだが、カメラは下着で隠せない巨大な胸の谷間を狙う。そしてギロチンがいよいよ体に近づいた瞬間、みごとに下着だけが切り裂かれ、98センチの爆乳がポロリとお目見えする。残念ながら顔と同時に映っていないので吹き替えの可能性もあるが、大いに興奮させられるショットであることは間違いない。