松井氏は、土ワイの黎明期に欠かせない女優たちがいたと言う。
「当時はテレビで脱いでくれる女優は少なかったが、これをフォローしたのが日活の女優たち。ドラマですから当然、一糸まとわぬ姿だけでなく演技も要求されるが、彼女たちは十分に応えられた」
宮下順子、片桐夕子、野平ゆき、泉じゅんといった日活女優たちが土ワイの常連になっている。
Fカップのバストで人気だった三崎奈美(61)もその1人で、「死刑台の美女」など4作に出演。
「初めて土ワイに出たのが『死刑台の美女』で、私、ストリップ劇場の入り口で裸のマネキンのような姿で殺されていましたね。最後に出た『養子探偵団』(86年12月20日)では、全裸で山の中を走り回っているシーンを覚えています。あまり自分の体には自信がなかったけど、とにかくお芝居をやることに必死でした」(三崎奈美)
さて、意外な女優が脱いでいたといえば市毛良枝(66)だ。70年代後半から80年代にかけ、常に「お嫁さんにしたい女優ナンバーワン」と呼ばれたが、84年7月7日オンエアの「松本清張の証言」では、大胆なカラミに挑戦。
市毛は29歳の独身OL役で、5年の不倫関係を持つ上司(柳生博)がいる。ベッドで抱き締められ、みずから唇を貪るように吸い、小ぶりな乳房をわしづかみにされる。さらに感度が高まった市毛は、みずからが上になり、長い髪を振り乱しながら、許されざる肉欲に溺れてゆく‥‥。
70年代のグラビア女王だった水沢アキ(62)もまた、過激なタイトルの主演作が多い。81年8月1日の「通り魔連続殺人 襲われた団地妻」、82年12月18日の「妹を犯した男」、83年7月23日の「団地妻のさけび」、85年5月25日の「オフィス妻のさけび」とめじろ押し。
フルヌードではなかったものの、ニットや下着姿からもわかる水沢の豊満な乳房は、予告編の段階から妄想を大いにかきたてた。
同じく松尾嘉代(73)も主演作は多く、2時間ドラマの女王と呼ばれた時期もあった。特に「エアロビクス殺人事件」(83年11月12日)に始まったエアロビのシリーズでは、レオタードに身を包んだ松尾の妖艶な肢体が名物となった。
アイドル歌手を卒業して女優に専念した大場久美子(57)も、大胆なシーンに挑んでいる。カルーセル麻紀の自伝的小説を原作とした「濡れた心・レズビアン殺人事件」(81年4月8日)では、タイトルのままにレズシーンが目玉。
特撮ヒロイン出身の谷川みゆきを相手に、全裸でくんずほぐれつする姿が鮮烈で、今もDVDでロングセラーを記録している。
こうした濡れ場の数々も、近年は放送倫理の観点から地上波では実現が難しい。おそらく最後の「カラミ満載!」となったのが06年9月23日オンエアの「特命係長只野仁スペシャル’06」だ。深夜ドラマで人気を博していた只野仁が、スペシャルとして「土曜9時」の枠を飾った。
まず冒頭から、清純派の小野真弓(35)が生涯初のベッドシーンを演じる。さらに80年代アイドルの大沢逸美(50)が、高橋克典を相手に熟した体を投げ出す。とどめはロケット乳で知られる喜多嶋舞(44)が、まさかの騎乗位を披露。テレビゆえに結合部こそ布をまとっているものの、背中を震わせながら上下にピストンする姿はガチンコ級である。
番組の歴史は幕を閉じるが、CSやDVDなどでまだまだ「あの日の興奮」をよみがえらせることはできるだろう。