6月23日の東京都議選告示を前に、小池百合子都知事に大逆風が吹き荒れている。豊洲移転を巡る先送りの決断もさることながら、鳴り物入りで代表に就任した「都民ファーストの会」もここにきて、惨敗の予測が出る始末。はたして、都知事当選の輝きが消えつつある小池氏の周辺で何が起きているのか。浮き彫りになった10の弱点とは──。
「都民ファーストの会」の関係者が言う。
「都議選はこれまでの圧勝ムードから、逆風を感じるようになりつつある。本来、7月2日の都議選で『豊洲移転』は最大の争点になるはずでした。それが自民党のアピールで『決められない知事』という印象操作が都民の間にジワジワと広まっていて、完全に守りの選挙になっています」
昨年7月に誕生した小池百合子都知事(64)は、築地市場の移転問題を俎上に載せて、その安全性に疑問を呈し、有権者からの高い支持を得た。あれから、300日余りたったにもかかわらず、市場の移転問題は宙ぶらりん。6月23日の告示を前に、各党が「豊洲」「築地」といった政策を主張する中、小池氏が代表を務める「都民ファーストの会」だけが取り残された。ここに最初の弱点がある。
【1】昨夏に豊洲移転の延期を表明してから小池氏の「迷走」は続いている。築地か豊洲の二者択一と発言していたのに、最近では「第3の道」として築地を「食のテーマパーク」にする再整備の案も浮上。衆院補選や千代田区長選で支援した候補者を勝たせてきた小池氏も風向きの変化を感じているのか、告示直前に豊洲への移転の可否を発表して、「決断できる知事」をアピールする動きも出てきている。ジャーナリストの須田慎一郎氏はこう話す。
「都民ファーストと都議会公明党は選挙協力を結んでいます。その公明党は豊洲移転に賛成で、都議選の前に結論を出すように要望を入れていました。これまで小池知事は『安全・安心』を問題視していたのに、すんなり決着をつけると、世論の反発を招いて都議選で惨敗する可能性も。そこで豊洲と築地の併用案が出てきて、どちらにも“いい顔”をすることで批判を回避しようとしているのです」
一部メディア関係者の予測では、「都議選で30議席を割る可能性」(政治記者)を指摘する声もあるというから、豊洲問題の先送りはボディブローのように徐々に小池人気に影を落としているのだ。
しかも、「豊洲市場の維持費だけで1日約500万円。業者の補償費用も合わせれば、総額で100億円近くになると見られている」(都庁関係者)だけに、今後は、【2】税金のむだづかいの批判も受けそうな雲行きである。