東宝が仕掛けたド派手なジャパンプレミア、主演の篠原涼子によるフジテレビ番組ジャックなど、あらゆるメディア出演による渾身のプッシュで9月5日に公開された人気シリーズの完結編「アンフェア the end」。思惑どおり、5、6日の週末ランキングではみごとに1位に輝いた。だが、じつはこれが手放しに喜べる内容ではなかったのだ。
「月曜日に映画専門サイトなどを中心に大々的に発表される週末ランキングは“週末興行ランキング”と呼ばれることがあり誤解されがちなのですが、じつは売り上げの興行収入ではなく、観客動員人数のランキングです。9月5・6日の動員数では2位の『テッド2』が21万1365人、1位の『アンフェア』が21万4198人、その差はたったの2833人。大接戦だという情報は伝わっていましたが、1位と2位ではその後の動きが雲泥の差、関係者はヒヤヒヤだったでしょうね。その一方で肝心の興行収入は約3億円のテッドに対し、アンフェアは約2億9000万円で2位でした。チケット単価が安い子供向けアニメが対象の場合は、時折この逆転現象が起きることがありますが、大人向けの映画同士では非常に珍しい。まさに薄氷の1位でした。もともとR15指定のテッドは20代、30代のOLが中心の客層。アンフェアは前売り券、レイトショーの低料金、チケット代の安い高校生や年配の動員数がテッドより多かったと考えられます」(エンタメ誌記者)
しかしあれだけの宣伝をかけて、公開2週目の「テッド2」や公開1カ月がたった「ジュラシック・ワールド」と大接戦するとは想定外だったという。
「篠原のメディア出演に加え、過去作もテレビ放映したものの、思ったほど新たなファンを開拓できなかったこと、フジのドラマで視聴率を地の底まで落としたEXILE・AKIRAの起用への批判、the endと謳いながらまだ続きがありそうだと不評を買った微妙な内容など、良い評判が口コミで広がらなかったことも誤算だったでしょうね。その点でも、あえてストーリーとは関係ないシャワーシーンを吹聴した篠原のファインプレーを賞賛する声が出ています」(前出・エンタメ誌記者)
篠原は公開初日の舞台挨拶で、42歳とは思えないプロポーションを惜しげもなく見せたシャワーシーンを直訴したと撮影秘話を暴露。これがネットなどで速攻配信され、男性ファンの集客に一役買ったというのだ。
「本来、鑑賞予定ではなかった男性客が土日のレイトショーあたりにシネコンに足を運んだようですね。『見どころはシャワーシーンだけだった』と嘆いている人がけっこういるのはタマにキズですが(笑)、たった2833人差の1位の勝因は、クマのぬいぐるみにはできないアンフェアな“脱ぎ告白”だったと言えなくもない」(前出・エンタメ誌記者)
残念ながら、作品そのものの評判は「テッド2」に比べても芳しくない。それでも1位を獲ったことで、シルバーウィークも控えるこの先、前作に並ぶ興行収入(約23億円)も見込めると関係者はホッと胸を撫で下ろしているとか。
「『テッド2』も1作目に比べて出来がいいとは言えませんが、今回のアンフェアは謎解き映画とは思えない雑な仕上がりで長年見続けてきたファンをガッカリさせているようですから、はたしてどうなんでしょうね…」(映画ライター)
「進撃の巨人」を筆頭に、この夏の邦画界は下方修正続き。全国的に天候も不順な9月、篠原の孤軍奮闘に秋晴れはやって来るのだろうか!?
(三崎康太)