リオ五輪の男子体操団体で日本がアテネ五輪以来、3大会ぶりの金メダルに輝いた。個人では無敵を誇った体操界のキング・内村航平の“悲願”がついに叶った瞬間だった。
日本中が歓喜した体操ニッポンの復活だが、スポーツ番組関係者は「ちょっと残念だった」と表情が浮かないようだ。いったいどういうことなのか?
「予選4位と出遅れた日本が徐々に追い上げて、最終種目の床運動では『ひねり王子』白井健三が16点台を叩きだし、最終演技者の内村は事故レベルのミスさえなければ優勝は確実という状況でした。最後の跳躍、内村もこの着地はテレビで繰り返し放送されるのを意識しているような空気もありました。しかし、着地は1歩…そして2歩と動き、踏み止まろうとした内村はへっぴり腰に。大きなミスというわけではないですが、せめて1歩で止めてもらえればまだ“使える”映像だったのですが‥‥」
さらに、実況もよくなかったという。五輪の名実況といえば、28年ぶりの金メダルを獲得したアテネの体操男子団体決勝で、刈屋富士雄アナが最後の演技者、冨田洋之のフィニッシュに合わせた「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ!」が思い出される。そのセリフに合わせるように、冨田はピタリと着地を決め、美しすぎる映像が完成した。前出のスポーツ番組関係者が続ける。
「あの最終場面、今回も名実況が飛び出すのではないかと期待していましたし、実況アナもおそらく狙っていたような“間”を感じました。しかし、狙いすぎて何も逆に浮かんで来なかったのか、『想い続けた団体金メダル。内村航平、金メダルへの着地‥‥』という平凡なものだった。しかも、ヨレヨレと2歩動いた後で『決まりました!』と叫んでしまった。これには視聴者どころか内村本人も『決まってねえよ!』と突っ込みたくなるはず。結果、多くの報道番組やスポーツニュースでは2歩目のところや『決まりました』の部分に逆転金メダルの立役者となった白井が見守る顔を差し込み、ごまかしていました。今後ずっと使われ続けるシーンだっただけに、内村にはピシッと着地を決めてもらいたかったですね」
バラエティーとは違い、テレビマンの都合どおりにはいかないのがスポーツの魅力。内村の金メダルへの貢献は揺るがないが、本人はこの映像が流れるたびに苦笑いするのかもしれない。