「友達の詩」で07年の紅白にも出場した中村中(26)は、自身のルーツに「昭和の歌姫たち」が存在したと言う。世代を遡って聴いた歌謡曲への思いを、ここに明かした。
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初めて自分で買ったCDが研ナオコさんのベスト盤でした。確か、小6の時だったと思います。当時の研さんは、あまり歌手としての活動はなさってなくて、私にはコメディエンヌの印象でした。そんな方が、これほど悲しそうな歌を、表現者として完璧に歌っていらっしゃったのかと。小椋佳さんの「泣かせて」、中島みゆきさんの「あばよ」、阿木燿子さんと宇崎竜童さんの「愚図」など、いろんな方が提供されても、まるで全部、研ナオコさんが作ったかのように聴こえる。
そして「悲しみ」を提示して、私には「そこからどうしますか?」とヒントのように聴こえました。引っ込み思案だった私が、人前で歌を歌うようになったのは、音楽のほうが伝えられるんだと思ったからです。
さて先日、お亡くなりになられた日吉ミミさんですが、実は私のラジオ番組のタイトルが「よのなかばかなのよ」なんです。これは日吉さんの「世迷い言」というヒット曲の「上から読んでも下から読んでも、ヨノナカバカナノヨ」ってフレーズに由来しています。私の名前も回文になっていますが、それと引っ掛けての番組タイトルです。
日吉さんの不思議な声質も憧れますが、あの詞を聴いた時に、言い得て妙だなと思いました。作詞が阿久悠さん、作曲が中島みゆきさんという豪華な組み合わせですが、日吉さんの「バカ」という表現には叱っているようで、深い愛情で包み込む。そんな温かさを感じています。番組のオープニングでは、ずっとこの曲を歌い続けていこうと思っています。
そして私のデビュー曲だった「友達の詩」ですが、実は先に岩崎宏美さんがカバーしてくださったんです。あれほどすばらしい方に歌っていただいたのは光栄でした。
それから由紀さおりさんには楽曲提供をさせていただいたんですが、由紀さんは私を何かにつけて「先生」と呼びます。単に私を持ち上げているのではなく、誰かに曲を書くということは才能なのだから、常に背筋をしゃんと伸ばしていなさい│そんなメッセージにも思えます。10代の頃に多くのステキな音楽によって励まされた。そんな私の経験を、私も音楽によって伝えていけたらいいなと思っています。
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