間もなく最終回を迎えるNHK朝の連続テレビ小説「おむすび」だが、これが朝ドラ史上ワースト平均視聴率を更新すると言われており、主演・橋本環奈の「黒歴史」確定に近づいている。そんな一世一代のヒロイン役でつまずいた女優は、ほかにもいる。
まずは2022年度前期、黒島結菜主演の「ちむどんどん」(平均視聴率15.8%)だ。これも酷かった。暢子(黒島)は食品会社の内定が希望通り出ていたのに、料理部として出場した料理コンテストで優勝したことで舞い上がり、「東京に行って料理人になりたい」と宣言。全く共感できないわがままキャラが物議を醸した。時代考証はメチャクチャで、1972年にペットボトル型の醤油が登場していたり(キッコーマンが同タイプの商品を採用したのは1977年)…。
2015年度前期の「まれ」(平均視聴率19.4%)のヒロイン像も、共感できないものだった。夢を見ることが嫌いな希(土屋太鳳)は地方公務員として働き始めたと思いきや、「世界一のパティシエになる」と言い始める。ところがその後、結婚相手の都合で塗師屋の女将になったりと、いきあたりばったり。パティシエなど、登場人物の仕事の描き方も浅かった。
2016年度後期の「べっぴんさん」(平均視聴率20.3%)では、芳根京子が戦後の子供服メーカーを立ち上げる女性を演じたが、19歳の女優が無理やり老け顔メイクで60代を演じることに「学芸会みたい」という酷評が。実在の人物をモデルにしているため仕方ないとはいえ、裕福な家庭のお嬢様というキャラ設定にもツッコミが入っている。
今回の「おむすび」はヒロイン結(橋本)が「ギャル」というキャラクター設定が裏目に出た。そして姉の歩(仲里依紗)も「伝説のギャル」。姉妹を対照的なキャラとして描く方が分かりやすいのだが…。
橋本はドラマ中盤で2週間も登場せず、代わりに仲が物語を引っ張る展開もあった。そこに追い討ちをかけたのが、橋本によるマネージャーへのパワハラ報道。まさに踏んだり蹴ったり、散々だった。
朝ドラヒロインは半年、100話以上続くロングラン作品。脚本や設定いかんでは、女優にとっての「黒歴史」と化してしまうのだ。
(魚住新司)