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憧れの「特撮ヒロイン」に会いたい!(2)インタビュー桜井浩子「初代ウルトラマン」 実相寺昭雄監督の鬼才演出で大ゲンカに 「女優を広角レンズで撮るなんて…」

「これから30分、あなたの目はあなたの身体を離れ、この不思議な時間の中に入ってゆくのです」――石坂浩二のナレーションとともに、日本のテレビドラマ初の特撮アンソロジーである「ウルトラQ」(66年)が始まった。そして桜井浩子(65)もまた、「特撮ヒロイン第1号」の道を歩みだした。


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「あそこに漂っている流木を見つめて、何か得体の知れない物があるかのように驚くんだよ」
 桜井は、新聞記者・江戸川由利子役で初めて〝特撮〟のロケに参加した日に、そんなアドバイスを聞いた。場所は皇居のお堀端、そこから「マンモスフラワー」という巨大な植物が現れるという設定だが、もちろん、実際には何も存在しない。何かが見えているような演技をして、あとで特撮部分と合成するのである。
 アドバイスの主は「ウルトラQ」の主役・万城目淳役の佐原健二だった。
「佐原さんは東宝の『ゴジラ』(54年)に始まり、多くの特撮映画をこなしているから、本当に〝驚き方〟がうまいの。それを参考にしてから、私もうまくいくようになりました」
 今年7月に発売された初の自伝「ヒロコ ウルトラの女神 誕生物語」(小学館)では、貧しかった少女が、のちに子供たちを夢中にする「ウルトラヒロイン」になるまでを描いている。毎週のように怪獣がテレビで観られるのは、画期的な事件だった。
「でも撮影している時は、これは絶対にお蔵入りになると思いましたよ。円谷プロにとって初めてのテレビ作品だから、映画のようにはスムーズじゃない。延々と撮り直しを重ねて、これでは完成しないんじゃないかと心配になりました」
 難産の末に産まれた「ウルトラQ」は高い評価で迎えられた。放映から45年がたっても魅力は色あせず、この8月には白黒だった全28話が、最新技術でカラー化され、新たなコンテンツとしてよみがえった。その膨大な作業に、桜井は大きな役割を果たしている。
「当時の衣装の色とか、私の意見を聞いてもらったんです。というのも、衣装はほとんど自前だったから鮮明な記憶で残っていたの」
 カネゴンやペギラ、ガラモンといった人気怪獣の着色はうれしいが、桜井のお気に入りは「クモ男爵」というホラー色の強いエピソード。
「モノクロの映像では〝吸い込まれるような〟怖さだったけど、カラーになったら〝飛び出してくる〟迫力に生まれ変わってます」
 66年7月、シリーズ第2弾の「ウルトラマン」では、科学特捜隊のフジアキコ隊員として唯一、続投する。アメリカで流行していた「スピンオフ」と呼ばれる手法で、視聴者にとって知った顔が1人いるのは安心感があるためだという。この作品からカラー放送となり、そろいのオレンジの隊員服は鮮やかに見えたが‥‥、
「夏は暑いし冬は寒い。それにオレンジの配色は、当時の男性にとっては抵抗があったから、キャップ(小林昭二)は嫌がっていたなあ。私もモノトーンっぽい『ウルトラセブン』の隊員服のほうがうらやましかった(笑)」
 鬼才・実相寺昭雄が参加したのも「ウルトラマン」から。ハヤタ隊員がスプーンで変身しようとする場面があったり、何かと物議を醸したが、それはアキコ隊員も同様。
「広角レンズを使って撮影されたことがあったのね。女優としては激怒よ(笑)。カメラの真ん前に立たされて超アップの顔になったりとか、監督に『何で私だけそういうふうに撮るの?』と聞いたら『いや、1回やってみたかったんだ』って理由でした(笑)」
 放映から45 年、今なおメディアで取り上げられることを、桜井は誇りに思っている。

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