「自分好みに育て、結婚するつもりだった」というおぞましい動機で、小学5年生の女児を誘拐・監禁した藤原武容疑者。警察が踏み込んだ時に女児といた改造部屋とは別に、このニート男の家には、ドス黒い欲望を体現したような奇怪な部屋があった。危うく実行しかかっていた「幼女飼育」計画の全貌とは──。
「藤原さんが突然、A4サイズの用紙に描かれた美少女のイラストを見せてきたんです。『どう、かわいいでしょ? 自分で描いたんだけど』と自慢気に言ってきたので、見てみるとプロ級の腕前。『すごく上手ですね』とホメると、ニヤニヤと顔を綻ばせた。去年の夏のことでしたが、今、思うとそのイラストは誘拐された小5の女の子に髪形や目のあたりが似ていて、彼にとって理想の女性だったのかもしれません」
そう語るのは、監禁容疑で逮捕された藤原武容疑者(49)の自宅で仕事をしたことのある建築関係者の一人である。
子供を持つ親をゾッとさせる誘拐事件が起きたのは、7月14日夕方のこと。岡山県倉敷市に住む小学5年生の女児が自宅近くの通学路で行方不明になった。
捜査関係者が事件について解説する。
「藤原容疑者は数カ月前から車で女児を物色している時に、偶然、事件で連れ去った女児を見かけて“一目ボレ”。犯行に及ぶまで10回以上、自宅付近を車で徘徊して、誘拐するタイミングを計っていました」
誘拐事件を起こした当日は、女児の自宅から100メートルほど離れた路上に車を止めて待機。下校途中の女児が目の前を通ると、「殺すぞ」とカッターナイフで脅し、後部座席に乗せて女児宅から8キロ離れた岡山市内の自宅に連れ去った。
「女児は、部屋の壁や天井に美少女アニメのポスターやイラストが貼られた1階の洋間に閉じ込められていました。女児を安心させようとジュースやお菓子を与えて、子供が好きそうなアニメを一日中見せていたそうです。それでも女児が脅えて逃げ出そうとすると、暴力こそ振るわなかったものの、ずっと言葉の暴力で脅していました」(前出・捜査関係者)
藤原容疑者にはこんな狙いがあったと、社会部記者は指摘する。
「犯罪被害者が犯人と一緒の時間を過ごすことで、しだいに好意的な依存感情などを持つようになる、『ストックホルム症候群』を期待していたようです」
しかし、藤原容疑者が夢みた「完全なる幼女飼育」計画は、5日で終わりを告げる。
7月19日午後10時過ぎ、岡山県警の捜査員がリビングの窓を割り、藤原容疑者宅に突入。1階の洋室で女児は白いパジャマ姿で布団に寝転び、藤原容疑者は隣のベッドでその様子を見ている時だった。
「身柄を押さえられた藤原容疑者は、女児について聞かれると、『私の妻です』とすぐにバレる言い逃れをした。部屋のテレビ画面には、アニメの『BLEACH』が映し出されていました」(前出・捜査関係者)
2001年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載している「BLEACH」は、死神になった高校生とその仲間たちの活躍を描いた物語で、小中学生の男女を問わず人気の作品。前出・捜査関係者もこう話す。
「アニメだけではなく、誘拐事件後、藤原容疑者は近所のスーパーで子供が好きそうな大量のお菓子を購入しており、監禁している決め手の一つになりました。誘拐を実行するまでは、車の後部座席とリアウインドーを黒いフィルムで覆って目隠ししたり、防犯カメラに映らない逃走経路を入念に調べていたが、監禁に成功してからは、周囲の目を気にするそぶりはなかったようです」
女児の気を引こうと必死に行動していたことがアダとなったようだ。