ジャニー喜多川氏の性加害問題をテレビが正面から取り上げてこなかったことが、数百人にも及ぶ被害者を生む大きな要因となったことは間違いない。公共の電波の使用を優遇されているテレビ局が「社会の公器」としての役割を全く果たしていないことはこの問題に限った話ではないが、その罪はどこまでも大きい。
「1988年、フォーリーブスのメンバーであった北公次氏が、ジャニー喜多川氏に受けた性加害を暴露した『光GENJIへ』は大変な話題となり大ベストセラーになりましたが、そのタイトルからも分かるように当時は光GENJIが国民的スターとして大ブレイク中。テレビがこれを大きく報じることはありませんでした」(ベテラン芸能ライター)
8月29日に行われた「外部専門家による再発防止特別チーム」による調査報告会見でもかなり具体的な性加害の実態が明かされたが、「光GENJIへ」を知るものにしてみれば、「何を今さら」が本音である。
北氏がジャニー氏に体を弄ばれたのは16歳の時だったといい、
「『光GENJIへ』で北氏は、ジャニー氏に迫られ突き放そうとするも、上に乗られ舌で舐められながら下半身を刺激されたり、自身の閉じた股にジャニー氏の下腹部を挟み込まされ上下に動かれたなどと、トラウマになるような被害を綴っている。しかしワイドショーなどは見向きもせず、35年間も黙殺され続けてきたわけす」(前出・ベテラン芸能ライター)
もちろんテレビは今からでも徹底的にジャニー氏、ジャニーズ事務所を糾弾すべきだが、その前に行うべきは、なぜこれを知って報じてこなかったのか。当事者意識をしっかり持ち、批判の刃をまずは自身に向けることこそが必要だろう。
(露口正義/(下)に続く)