和食と同じくウイスキー好きとしても知られるタモリ。朝の連続テレビ小説「マッサン」よろしく、11月9日の放送では、ひとしきりオンザロックのウンチクを傾けると、そのあとでこう言い放った。
「ロックの時に氷が丸いと、飲んでる最中、鼻の下に氷がピタッと付く時がある。丸い氷はクソだ」
本来、バーテンが氷を削って供される丸氷は、四角い氷よりも溶けにくい。そのためオンザロックで用いられることが多いのだが、氷が溶けて少しずつ味が変わるのを楽しみたいタモリにとっては、どうにも我慢ならないようだ。
番組のもう一つの見どころは、毎回着物姿で登場する宮沢りえとの思わせぶりな下ネタ発言の数々。10月19日の初回放送では、こんな話を切り出した。
「(女性の)着物を脱がせたあとの(肌についた)ヒモの跡が好きなんだ」
これを受けて、翌週10月26日の放送では、宮沢がこう切り返した。
「社長(タモリ)が着物跡が好きだと言っていたけど、あのあとで(着物を)脱いだら確かに(ヒモの跡が)あった。『これだわ』と思った」
これを聞かされたタモリは、サングラス越しからでもわかるほど珍しく大テレ。四十路の宮沢りえの危険球に、あえなく撃沈されてしまったのだ。
だが、ここからが「タモリ」の真骨頂。11月30日の放送では、店内の暑さに我慢できなくなった宮沢が「お行儀悪くてごめんなさいね」と言いながら、着物の袖口からウチワで風を送り込む光景にニヤリ。そして、ひと言つぶやいた。
「あそこ(袖口)に入っていくとワキの下に通じているんだな。死んでもいいから、あそこに入っていきてぇな」
この辺りになると、バーと言うよりは場末のスナックでの会話の趣だ。目の保養よろしく、宮沢の着物姿は艶っぽく、毎回タモリの鼻の下は伸びっぱなしだ。
それにしても御年69のタモリの怪気炎はとどまるところを知らないばかりだが、これには、フジテレビの亀山千広社長をして「テレビの作り手として刺激を受けた」と絶賛させるなど、この番組によってタモリ再評価の声が上がっている。芸能レポーターの石川敏男氏もこう評価する。
「『笑っていいとも!』のような昼の時間帯とは違うから、大人の部分を見せられる。タモリ自身が伸び伸びやっているのが、画面を通じてもわかりますね。決してガツガツしているわけじゃないんだけど、『タモリ、いまだ健在』という感じがしますね」
枯れるどころか、老いてますます盛んなタモリの快進撃。数少ない大人の笑いを体現するタモリの毒に期待したい。