今、プロレス女子のみならず、あらゆるプロレスファンの支持を集める双子のレスラーが活躍していることを知っているだろうか。全日本プロレスで暴れ回る、斉藤ブラザーズだ。ベテラン格闘技ライターが、その人気ぶりを解説する。
「2人とも学生時代にアメフトとレスリングで鍛え上げた、190センチ、110キロを超すイケメン。試合には現役アイドルが観戦に来るし、写真集が発売されるほどです。最近はCDデビューを果たし、地方のテレビ局でレギュラーコーナーを持っている。今後はプロレスファンだけでなく、一般の人にも知られる存在になるでしょう」
斉藤ブラザーズの兄は斉藤ジュン、弟は斉藤レイという。兄弟ともに元々は出羽海部屋の力士で、兄は藤の海のしこ名で最高位は幕下、弟は藤の花で、三段目が最高位だった。アメリカ人の父と日本人の母を持つハーフであり、いわゆる帰国子女。2009年の入門時には「ハーフの双子が角界入り」と話題になった。
その2人が関取になる夢を断念。2020年12月に全日本プロレスの公開入門テストに合格した。翌年6月9日に後楽園ホール大会で大森隆男、本田竜輝組を相手にプロレスデビュー。その後は兄弟タッグを中心に活動していたが、現在はミスター斉藤(土井成樹)とセニョール斉藤を加え、ユニット化している。
その実力は折り紙付きだ。2024年には東京スポーツ新聞社が認定するスロレス大賞で「最優秀タッグチーム賞」を受賞。兄ジュンは三冠ヘビー級王座のベルトを保持している。
近い将来、この兄の持つ三冠ベルトに弟が挑戦するという、禁断の試合が実現するかもしれない。前出の格闘技ライターによれば、
「2人で出演したラジオ番組で、弟が『いつか兄の三冠に挑戦したい』と発言しています。兄は『実力がついてから。まだ挑戦は早い』といなしたのですが、ない話ではない。実現すれば、これ以上ないドームマッチになることは間違いありません」
大相撲春場所は大関・大の里が高安との優勝決定戦を制し、3度目の優勝を飾った。角界ではかつて、兄の横綱・若乃花と弟の横綱・貴乃花が空前絶後の若貴ブームを作り出し、2人の優勝決定戦は今も語り草になっている。その相撲界に身を置いた斉藤ブラザーズが、プロレス界に一大ブームを起こす番がきているのだ。