長男の「未成年者誘拐罪」まで取り沙汰された元日本卓球女子代表の福原愛が3月15日、都内の日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を開き、自身の行動で混乱を招いたことを謝罪。長男の共同親権を持つ前夫の江宏傑氏と和解が成立したことを明かした。
2人は2016年リオデジャネイロ五輪後の9月1日に、結婚を電撃発表。2017年10月に長女、2019年4月には長男が誕生していたが、2年後の2021年7月に離婚を発表。長女と長男の親権については台湾の法律に基づき、離婚後も双方が親権を持つ「共同親権」となり、江氏が台湾で2人を育てていた。
ところが2022年7月23日、福原は台湾の空港で面会した長男をそのまま日本に連れて帰り、1週間後に連絡を絶ったとされる。翌2023年の7月20日、東京家庭裁判所は福原に対する長男引渡しの強制執行手続きを認める判決を出していたが、福原は長男を連れて、台湾と日本の法律が及ばない中国に入国。江氏側は長男の引き渡しに応じなければ福原を「未成年者誘拐罪で告訴する」ことも検討すると表明し、中国と台湾の外交問題が絡む泥沼状態に陥っていた。
福原とともに会見に出席した双方の代理人弁護士は、福原が長男を連れて中国へ渡ったことがトラブル長期化を招いた、と説明。福原側の酒井奈緒弁護士も「行動としては不適切だった」と説明した。
福原は長男の連れ去り騒動の渦中にあった昨年6月、母校・青森山田高校の系列大学である青森大学で、地元ロータリークラブの名士らが講師を務める「じょっぱり経済学」に登壇。2021年に福原が客員准教授になって以降、初めて講義を行った。
福原の行為は国際法のハーグ条約に違反しており、日本国内で江氏から「未成年者誘拐罪」として告訴されてもおかしくなかった。それでも早稲田大学中退の福原が、大学の客員准教授をクビにならないのは何故なのか。全国紙社会部記者が解説する。
「青森大学は文部科学省から『留学生修学援助費補助金』を受けていますが、一定の留学生を確保しなければ、補助金は下りません。この大学では2011年に、就労目的で日本に来た中国人留学生140人を除籍処分にする問題が起きました。中国人留学生が大学に姿を見せず、東京や愛知で就労していたことが発覚。大学が中国国内の日本語学校との協力解消、中国からの留学生受け入れを一時中止する事態に陥りました。就労留学生からは『青森大学の学費が高い』『学費を払うために就労せざるをえない』という批判や反発が出ています。そんな経緯があって、中国からの留学生募集を再開するにあたり、五輪メダリストとしての実績があって中国国内での好感度が高い福原が必要とされたのでしょう」
一種の客寄せパンダと言えなくもなさそうだが、今回の騒動で、子煩悩で知られる中国人の間でも「姉弟を離れ離れにさせた」福原に批判的な意見が上がっている。
福原の立場について青森大学に確認したところ、
「客員准教授なので、所属学部はない」(学校法人青森山田学園法人本部広報室)
特定の授業のコマを持っているわけではないが、来年度も、
「(契約)更新予定で、客員准教授のままです」
騒動を経て、肩書きは保ったのだった。
(那須優子)