今年1月に行われたアジアカップ・カタール大会でベトナム代表を率い、日本代表を相手に見どころある戦いを繰り広げたフィリップ・トルシエ氏。ところが3月26日にはW杯アジア2次予選に苦戦したことで、ベトナム代表監督を解任されてしまった。
そんなトルシエ氏の素顔を、元日本代表の福西崇史氏が前園真聖氏のYouTubeチャンネルで明らかにしている。
トルシエ氏は最初から高圧的な態度だったと、福西氏は言う。
「初練習で『お前、チンタラしてるんじゃねぇ』って怒った。新人を怒って、見世物みたいにするんです。日本代表に行って、最初からダラダラできるはずがない。俺、めちゃくちゃ必死で試合なみにウォーミングアップしましたよ。あの時がいちばん、ちゃんとウォーミングアップした。それなのに『お前、やる気ないなら帰れ。練習外れろ』って。マジで帰ろうと思った。でも、ちゃんと言いました。僕は日本代表に初めて入って、ダラダラする気持ちはないし、やっていくんだって」
だが、そんな福西氏の訴えを、トルシエ氏は受け入れなかったそうで、しかたなく帰ろうとしたが、
「帰ろうと思ったらバスがなくて、帰れなくて。(山本)昌邦さんから『お前、ちょっと走れ』と言われて走ってたらサミア・コーチが呼びに来て、『一緒にやらせてやる』みたいな」
どうやらトルシエ氏は新人を吊るし上げることで、チームに規律を作り上げようとしていたようだ。このやり方はその後も続いたという。
「トルシエはメディアがいるとワーってなり、選手の誰かを怒るんです。その瞬間に『今日はお前の番』って。俺たちは知ってるから、しょうがないぞって。俺たちも通って来た道だし。こういう指導法を意図的にやっているのはあると思う」
こうして選手の目はトルシエ氏に向くことになり、
「結局、対トルシエになるんです。トルシエに怒られるとアカンて思うし、トルシエをクソって思いながら選手は頑張る。それを全部踏まえた上でやっていたのなら、すごいなって思いました。意図的にやっていたのかどうか、どちらかはわからない」
と、狙ってやっていたのかどうか福西氏にはわからなかったとか。
「それでも結果は出したから、あんな指導の仕方っていうのもあるんだと、勉強になりました」
マスコミやサッカー協会に対してエキセントリックな言動が目立ったトルシエ氏だが、それもなんらかの意図があって、わざとやったことなのかもしれない。
(鈴木誠)