言わずと知れた国民的アニメ「サザエさん」。1969年10月5日に放送開始され、今年10月に55周年を迎えた。これにより、50周年の際にギネス認定された「最も長く放映されているテレビアニメ番組」の世界記録を更新し、主人公のフグ田サザエを演じる声優の加藤みどりも「同一のテレビアニメ番組のキャラクターを最も長く演じてきた声優(女性)」のギネス記録を更新した。大谷翔平が「50-50」なら、「サザエさん」はそれを超える「55-55」なのだ。
この大記録を記念し、11月25日から12月1日の1週間は「祝・放送55周年 秋のサザエさんウィーク」と題して、11月25日から29日の18時50分から19時00分に「秋の傑作選」として再放送枠を設け、毎日1本を放送。最終日の12月1日には1時間の「サザエさん 放送55周年記念スペシャル」が放送される。
文字通りの「サザエさんウィーク」なのだが、その一環で11月26日(火)19時から放送された「国民的アニメの祭典 サザエさん55周年SP」は老若男女問わず、多くの視聴者が楽しめる内容だった。
冒頭、過去の「サザエさん」のエピソードを3本放送。火曜日19時のフジテレビといえば「まんが名作劇場 サザエさん」と銘打った「サザエさん」の再放送枠という認識がいまだに残っている、私のようなオールドファンからすると、これだけでもう鳥肌モノだ。
火曜版「サザエさん」のオープニングとエンディングは、日曜日の本放送とは別の曲が使われていたのだが(ドラマ「古畑任三郎」の風間杜夫が犯人を演じた回の「間違えられた男」では、この曲の違いが古畑の推理の大きな鍵になったのを覚えている人も多いだろう)、このオープニングの「サザエさんのうた」とエンディングの「あかるいサザエさん」が「国民的アニメの祭典 サザエさん55周年SP」のおかげで、久しぶりに火曜日の19時台に聞けたことには感無量だった。おまけに、磯野家のお隣が作家の伊佐坂さん一家ではなく、画家の浜さん一家だったのも、懐かしいことこの上なかった。
火曜版「サザエさん」の後は、川島明(麒麟)と内田有紀がMCを務めるパートに。「サザエさんの意外な事実」と題して過去回を振り返りながら、サザエさん一家を深堀り。その後も図々しすぎる行動がしばしば批判を受ける「ノリスケ」や、サイコパスすぎる言動で我々をいつも震撼させる「堀川くん」といった人気のサブキャラクターをクローズアップ。
あるいは「花沢さん」と「カツオ」の愛の遍歴を、長年の各エピソードで振り返り、まるで良質なラブストーリーかのような編集で楽しませたりも。さらにさらに、「見たすぎるサブタイトル国民投票」と称して行った投票結果のそれぞれの1位に輝いたエピソードを見せるなど、まさに「55周年SP」の名に恥じない内容だった。
名場面の中には「波平とマスオの喫煙シーン」や「イタズラがすぎるタラちゃんを、サザエさんが物置に閉じ込めてお仕置きするシーン」「カツオが女子生徒の容姿をイジるシーン」など、令和の今じゃ「不適切」と文句が出そうなものもあったが、それもこれも全部含めて、ここまで続く長寿番組となった「サザエさん」の歴史を改めて感じさせてくれた。
いっそアニバーサリーウィークだけにせず、視聴率低迷が続く「Live News イット!」の放送時間を毎日30分切り上げて、「サザエさん」の再放送枠にすればいいのに。「毎日サザエさん」をぜひ!
(堀江南)