視聴率の低迷から抜け出せないフジテレビにあって、「数字の取れる番組」として君臨してきたのは、アニメ「サザエさん」である。
1969年にスタートし、今年で47年目を迎える同番組は、まさしくフジテレビの顔。「27時間テレビ」など社運を賭けた特番とのコラボ企画も繰り返し実施され、絶対的な存在感を維持してきた。
しかし今年に入ってから、局内での「サザエさん」の扱われ方に急激な変化が生じ、同局では“これまでにない空気”になっているという。
「実のところ、数年前から視聴率は低下傾向にありましたが、『打ち切り論』まで飛び出したのは初めてですね」
と語るのは、同局の内情を知る放送作家である。
「これまではフジテレビが買収でもされない限り『サザエさん』は終わりっこない、というのが社内の定説だったんです。もちろん『打ち切ってはどうか』なんて口にするのはタブー中のタブー。それが、今では本気で『日曜夕方枠のリニューアルを』と口にする社員もいるんですよ」
一体、国民的番組の「サザエさん」に何が起こっているというのか。
「ネットでのアンチの書き込みが『打ち切り論』の根本にあります。一般視聴者の大半は知らないと思いますが、最近では『サザエさん』が放送されるたびにネットが大荒れ。『つまらない』『時代遅れ』といったネガティブな感想はまだしも、『ワカメがムカつく』など目を覆いたくなるコメントでツイッターや掲示板があふれかえっているんです。書く側は冗談半分なんでしょうが、現場では『ここまで言われるならやめてはどうか』といった意見が続々出ていますよ」
意外や、国民的番組に対するアンチの声は、低視聴率問題より深刻なようである。
(白川健一)