大物芸人のカネの使い道はいったい…。他人の財布の中身は気になるものだが、明石家さんまの場合はどうかといえば、
「飲み代や家のリフォーム…使ってるよ、結構、俺。自分の貯金額は知らない。見たらアカンねん、芸人は」
現時点でいくら貯まっているかを把握せず、芸人たるもの通帳を見てはいけない、という持論を展開したのは「ホンマでっか!?TV」(3月12日、フジテレビ系)でのことだ。投資や節税など、お金にまつわる知識を専門家が紹介する中での告白だった。
とはいえ、自身の総資産について、ざっくりとではあるものの「匂わせ」をしたことはある。思い出すのは2021年7月25日放送の「週刊さんまとマツコ」(TBS系)。ゲストとして終活ライフケアプランナーの資格を持つ女優・財前直見が登場した。
さんまとマツコ・デラックスに「終活ガチ相談」と題してアドバイスを送る中、噂されていた資産額について「500億あるんですか」と直球質問。するとさんまは「欲しいわ! もうない」。これにマツコがツッコミを入れる。「『もう』って言ったね、今」。さんまの答えは「かなりない。3桁の億なんて夢物語」だった。
つまり500億円は大げさにしても、さんまの手元には2ケタ億円はあった、もしくは今もある、ということを示していたことに…。
そこで気になるのは、さんまが世を去った後の遺産の行方だ。今年2月16日の「行列のできる相談所 2時間SP」(日本テレビ系)では「俺は国に寄付するっていうのは決めてんやけどな」とキッパリ。共演者の「今のうちに子供たちに渡しておいたほうがいい」との助言にも「明日どうしようっていう人生が楽しいんやないかい!」と、あくまで芸人らしい価値観を貫いていた。
「宵越しの金は持たない」という昔気質の芸人、さんま。それでいて30年前、ファンの女子中学生から「さんまさんへ」とメッセージが書かれた千円札を受け取り、今でも大切に持ち続けている優しい心の持ち主である。
「生きてるだけで丸儲け」を座右の銘にする男は、いずれにしても貯蓄額よりも「笑い」を貯め込むことを大事にしているようだ。そう遠くない未来、莫大な遺産をどうするか迫られるだろうが、しばらくはこうした、さんまの「お金哲学」に耳を傾けてみたい。
(魚住新司)