バットの芯に当てる能力の高さはメジャーでもトップ級という、カブス・鈴木誠也。その能力を遺憾なく発揮している動画が、カブスの公式Xで公開された。
〈誠也は東京シリーズに向けて準備万端だと思う〉
カブスはドジャースとの日本での開幕戦に向けて、3月12日深夜に羽田空港に到着したが、そう綴られた投稿には、バッティングケージに入った鈴木が、向かってくる球を「日本刀」で真っ二つにする衝撃動画が。動画の最後には、斬って割れた球が撮影していたカメラマンを直撃するという「オチ」までついていた。
当然ながら、タイムラインは驚きの声で溢れ返る。「Amazing!」「SAMURAI Cubs!」「これ本当なのか?」…。
もっとも、いくら鈴木のミート力がメジャートップクラスとはいえ、刀は引いて斬るもの。「切っ先三寸」といい、最もよく切れるのは刃の先端から約10センチ部分だ。インパクトでスパスパと球が真っ二つになるほどの刀なら、すぐに刃が欠けていただろう。
どうやらカブスが東京シリーズに合わせて、ファンサービス用のフェイク動画を制作したようだが、これを見てかつての王貞治と荒川博コーチを思い出すならば、なかなかの古参野球通といえるだろう。今では伝説と化している、天井からブラ下げた紙の短冊を日本刀で斬る「真剣素振り」練習だ。
「日本刀は上から下に動かさないと、力が伝わらなくて斬れない。バットも同じ」
荒川コーチはそう言って、王に真剣を振らせた。王はこの時、数枚重ねた短冊をまるでカミソリで切ったように、スパッと裂いていたという。
翻って鈴木は小学校時代、父親が金属加工会社に特注した極細の鉄パイプで、ゴルフボールを打ち込む練習を毎日、何時間も続けた。メジャートップ級のミート力の原点だ。
球を真っ二つにする動画の方がファンウケはいいだろうが、鈴木にはぜひ、世界の王のような短冊斬りにチャレンジしてもらいたい。
(ケン高田)