「私たち夫妻は教皇フランシスコの死を知り、深く悲しんでいる。しかし教皇が、その生涯と職務を通じて献身的に仕えた教会と世界に、復活祭の挨拶ができたと知り、少し心が軽くなった」
まさに死の少し前、夫人とともにイタリアを訪問し、非公開でローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇と面会したいうイギリスのチャールズ国王は声明を発表し、哀悼の辞を述べた。
バチカンが教皇の死去を発表したのは、4月21日朝9時過ぎ。長年にわたり糖尿病や高血圧のほか、急性呼吸不全の既往症を患っていた。バチカンによれば、直接的な死因は脳卒中と、不可逆的な心不全だった。享年88。死の前日、聖ペトロ広場で行われた復活祭のミサに姿を見せたのが最後となってしまった。
教皇の訃報を受け、約14億人のカトリック信者がその死を悼む中、アルゼンチンのメディア「インフォバエ」が報じたある不思議なニュースが、多くの信者を驚かせている。
それによると、コロンビアのノルテ・デ・サンタンデール県オカニャ市にほど近い街に置かれた聖母マリア像がなんと、フランシスコ教皇が亡くなる3日前の4月18日、説教の最中に突然、涙を流し始めたというのだ。そのシーンは目撃者により撮影され、SNS上にアップされた。当然ながら「奇跡が起こった」と大騒ぎになり、さらに教皇の訃報で「マリア様が教皇の死を予兆していた」「あれは予言の涙だった」との指摘が出ることに。
これまでも「涙を流す聖母マリア像」の事例は数多く報告されており、昨年6月にはメキシコで「血の涙を流す」聖母マリア像の存在が明かされた。
このマリア像は、メキシコのミチョアカン州モレリアの個人宅にある「グアダルーペの聖母」。カトリック教会が公認する、メキシコで最も敬愛されている宗教的シンボルだ。この家で暮らす息子が、聖母像の頬に血液と思われる黒い筋が残されているのを発見。すぐに地元の司祭に報告したが、教会公認とあって、さっそく調査を開始。しかし、原因究明には至らなかった。
この種の超常現象の中には、金銭を目的とした話題作りやニセ情報が少なくないため、カトリック教会を束ねるバチカンは昨年、超常現象の公認に関する新しい規則を発表。その音頭を取ったのが、亡くなったフランシスコ教皇だったとされる。
さて、今回の「死の予兆」騒動を、教皇は空の上からどう見ているのだろうか。
(ジョン・ドゥ)