7月1日にTBS系列で放送された「SASUKE2015」。今回は初の試みとして、これまで出場者の関係者に限定してきた観覧を一般のファンにも開放。ジャニーズや人気プロレスラー、ゴールデンボンバーなどの芸能人が多数出演したこともあり、会場では盛んに黄色い声援が飛んでいたようだ。
一方で、多数の芸能人が参加することに対しては、以前よりファンから不満の声があがっている。とくに競技としてのSASUKEを愛するスパルタンなファンの間では、1stステージすら突破できないのに出場枠を優遇される芸能人への不満が根強いのである。
たとえば2番目に登場したパンサー尾形貴弘は、出演シーンでパンサーの最新DVDが映し出され、それでいて本番では序盤であっさり脱落。旬の芸能人というだけで出演できたと、ファンが不満を抱くのももっともな話である。
ただSASUKEがあくまで、民放局が制作するバラエティ番組でもある。しかも制作費がゆうに1億円の大台を超えるというお化け番組だ。それを踏まえると、見せ場を作れない一般参加者のシーンを放送するくらいなら、知名度のある芸能人を映したほうがマシと判断するのもまた、ごく真っ当なことかもしれない。
実際、今回の視聴率は昨年を上回り、番組側では視聴者への感謝の気持ちをツイートしていた。芸能人効果でチャンネルを合わせた視聴者も少なくなかったという仮定も成り立ち、その戦略は番組的に大正解だったということになる。
しかも今回は、その芸能人参加者が期待を上回る活躍を見せた。ジャニーズからの初参加者となったA.B.C-Zの塚田僚一は、1stステージでゴール目前まで迫るという大健闘。小学校で体操クラブに所属し、オリンピックを目指していたのがハッタリではないことを自ら証明した形だ。
さらに視聴者を驚かせたのは、ゴールデンボンバーの樽美酒研二だ。前回、1stステージの最終エリアで転落した樽美酒は、体重を80キロから73キロに落とすなどSASUKEに賭ける熱い思いをトレーニングにぶつけた。そして今回、見事に1stステージを突破し、スパルタンなファンも納得させる活躍を見せたのである。
そういう視点で考えると、前述のパンサー尾形も逆説的にSASUKEの凄さを表していたのかもしれない。つまり、スタート地点直後の障害でさえ簡単にはクリアできないことを知らしめる、いわば噛ませ犬だったわけだ。だからこそ樽美酒らとは違い、2番目という早い出番を与えられていたのではないだろうか。
いずれにせよ、一般人だろうが芸能人だろうが、熱い思いが伝わればファンは納得してくれるというのが、SASUKEという番組なのかもしれない。番組的にはヘタレなお笑い芸人も必要かもしれないが、次回はぜひ、熱い気持ちで参加してくれる芸能人をたくさん見てみたいものだ。
(金田麻有)