今年の交流戦の成績がパ61勝、セ44勝であること、そもそも11年間の交流戦でセの勝ち越しが09年の1回しかないことでもわかるように、プロ野球界は圧倒的な「パ高セ低」。なぜ、こんな戦力格差が生まれたのか。スポーツジャーナリスト・相沢光一氏は次のように分析する。
「日本シリーズもここ10年は、セの日本一は3回だけ。04年の球界再編で近鉄バファローズが消滅したのをきっかけに、各球団が戦力強化と人気回復に向けて努力し始めた。4割近い打者が出るのは、スカウティングの力です。野球の技術うんぬんの前に、身体能力が優れた選手を取る傾向がある。ドラフト上位入団でない選手が多数活躍しているのはそのためです」
各球団がしのぎを削った結果、戦力は均衡していく。
「だからちょっと油断すると、たちどころにBクラスに転落する混戦状態がずっと続いている。セより必死なんです。資金力のある球団が上位に来るイメージのセとは違う。潜在能力を見いだすスカウトの努力であり、そこに6球団の熾烈な争いが加わる。全ての根底にあるのは、人気低迷の危機感でした。さらに、パにはDH制があるので、投手は気を抜く瞬間がない。そして、広い球場が多いパの投手はメジャーに近い力勝負を挑み、打者もそれに応じて進化する。その相乗効果が選手を強くします。戦略的にかわそうという投球をしがちなセとは異なります」
パ・リーグ関係者もこれに追随する。
「セはひ弱なんです。ヤクルトなんて交流戦中はほとんど練習しないことも。京セラドームから西武ドームに移動した際、疲れを残さないため、という理由でした。パのほうがはるかに移動が大変で、慣れているし、当然、練習もします」
パの選手、試合に圧倒的な見応えが生じるのは必然なのである。