今年もまた、ペナントの行方を左右する「セ・パ交流戦」が始まった。各球団との対戦は1年でたったの4試合。それだけに、たまりにたまった遺恨のマグマが大爆発する1カ月となるのである。
セ・パ交流戦がスタートした5月14日、さっそく派手なバトルが勃発した。
とはいえ、同一チーム内での“痴話ゲンカ”だ。日本ハム戦の最中にもかかわらず、7回裏の攻撃前に、中日のベンチ内で、高木守道監督(71)が井端弘和(38)を激しく叱責し、応戦した井端が納得いかない様子でベンチ裏へ引き揚げる様子が中継で大写しにされてしまったのである。
「原因は前の回に稲葉のセンター前ヒットで得点を許したシーン。高木監督はショートの井端が中継に入れば失点は防げたと激高したのですが、井端は一塁のクラークが入る場面だったと主張したのです」(スポーツ紙デスク)
状況を考えると、井端の言い分に分があるようだが、ここに至るまでには根深い伏線があったという。
「実は、井端がWBCで大活躍したことによってシーズン前から高木監督が過剰に期待していたんです。『井端に4番を打たせてもいい』とまで言っていた。ところが蓋を開けてみれば、井端の打率は2割前後と低迷しているため、監督は1人でカリカリきているんです。チーム内では井端への同情論が湧き起こっています」(前出・スポーツ紙デスク)
内紛による自滅など論外だが、他球団に目を向けても、ライバルチームとの遺恨の炎は、そこかしこでメラメラと燃え上がっている。
特に、菅野智之(23)のプロ入りを巡って因縁浅からぬ巨人と日本ハムの対戦は大注目である。
「日ハムは06年にも、巨人入りを希望する長野久義(28)に入団拒否される事態がありましたが、一昨年のドラフトで菅野を強行指名して交渉権を獲得した際には、日ハムの関係者が巨人の関係者から『よくあんなことができますね』と毒づかれる一幕があったそうです。巨人にとって菅野が浪人した原因を作ったのは日ハムですが、日ハムにしてみればルールにのっとってやったこと。しかも球団幹部は、『大谷(翔平・18)以上に攻めていたんだ』と今でも悔しがるほど菅野の素質を買っていたのですから、忸怩たる思いがあるでしょう」(球界関係者)
一方で、今号の発売時点ではすでに両チームの顔合わせは実現しているが、日本ハムに対する菅野の態度には注目が集まっていた。
「というのも、長野が日ハムに礼を尽くしてきたからなんです。長野は入団直後の日ハム戦の時にすかさず、実力を評価してくれた日ハムの山田GMに挨拶に行っている。そればかりか、対戦があるたび折に触れて山田GMのところに行く。昨年の日本シリーズの時にも訪れ、山田GMは『もういいよって言ってるのに』と言いながら、まんざらでもない表情でした。菅野も長野を手本にすることができれば、妙な遺恨も残らないのでしょうが‥‥」(前出・球界関係者)